第3話  羽根は戦力外通知

僕はダッシュで武道館へ走った。考える前に走っていた。武道館入口の弓道場、弓を持ったアヤの姿が。軽い電磁波が走る。

アヤは他の弓道部の部員達と僕に気づかず入って行った。『僕は何をやっているんだ。』

ダッシュで体育館に戻る。

「ピッ、ピーッ」ホイッスル。「休憩終了」

間にあった。

ルイが「ショウ、どこにいってたんだ?」

「トイレ、トイレ。」「そうっか。」

アオイも「ショウ、後半は1年のみでの練習だ。いつものフォーメーションしようぜ。」

「あー。」僕がパスを回す。パス、シュート3人の息が合う。

1年チームのマネージャーが「いいぞ。」

僕らを褒める。

次は僕がセンター。僕は同化した羽根を使いダンクシュート。アオイが「ショウ。ナイスシュート。」きれいにゴール。

キャプテンの声。「今日の練習終了。」

部員そろって「お疲れ様でした。」

先輩達が帰った。1年でコート整備。その前に自由にコートが使える。自主練だ。

羽根を使わずダンクシュート。

ジャンプが足りない。

僕は羽根を使わず。再度トライ。決まらない。

もどかしさが、くすぶる。

僕の横をアオイとルイがドリブルですり抜けジャンプ。リングが鳴る。ダンクシュートを決める。くすぶる煙が脳内に充満。ボールを片手でゴールへ投げつけた。ボードがおきく揺れてネットの中に「スポッ」3ポイントが決まる。

?何も考えずにボールにあたって投げつけただけなのに。入ってしまった。

ルイが駆け寄る。「ショウ、今のシュートすごい。片手で3ポイント。」そう言いなが、僕の腕の筋肉をつかむ。

「やめろよ。くすぐったいぞ。」

アオイもまざる。僕らはふざけ合う。

アオイが「ショウ、いつからこんなに筋肉がついているんだ。中学の時は、ヒョロかったよな。」

僕はバスケを始めてから自宅で筋トレも毎日行っていた。身長が伸びない分、筋肉をつけたかったからだ。

正直な僕は「筋トレ。鉄アレだよ。」

ルイが「僕も鉄アレ買おうかなあ。筋肉 ほしいな。」

アオイも「そうだな。帰りに駅のスポーツ店に寄ってみるか。」

「そうだな。付き合うよ。」

僕らは急ぎバスケットボールを磨き、コート整備を終わらせ部室へ。着替えも急ぎ部室を出る。武道館に明り。アオイが「弓道部、まだ練習やってのか。遅いな。」

僕はアヤが気になり「悪いすぐ追いつく。スポーツ店、先に行っててくれ。」

ルイは何かを察したようで「ショウ、分かった。先にいってる。」

「あー、頼む。」

僕は駆け足で弓道場を足元の窓からのぞく。イケメンの3年の主将がアヤ達1年の指導をしていた。

「くそー、イケメン先輩かあ。」

しばらくして「今日の練習は終了。」主将の声。

みんなは帰り支度。「アヤ帰らない?」

「大丈夫。もう少しだけ弓をひいてから。」

「わかった、じゃ、お先。」

イケメンの3年の主将がアヤに「職員室で借りた握力は使わないのかい?あの握力で引いた君の矢の曲線はとてもきれいだよ。」

「主将、ありがとうございます。自分の力だけでどれだけ弓を引けるか試したいんです。」

「そうか。じゃ、遅くならないようにな。」

「はい、主将ありがとうございます。お疲れ様でした。」

僕はしばらく弓道場で一人で弓を引きアヤを見ていた。握力のないアヤは弓が最後まで引けずに途中で止まっている。悔しそうなアヤの顔。見るこっちがつらい。

僕は「やめろ。無いならあの借りものの握力を使え。」気づくと弓道場に上がって、アヤに叫んでいた。

「なぜ、借りもの握力を使わないんだ。主将も褒めていたじゃないか。」

僕はそう言いながらアヤの手のひらを握ってみた。まめと血がにじんでいた。

「君はバカじゃないか。ここまですることないんじゃないか?なんで使わないんだ。」

アヤが怒った顔で「じゃあ、君はどう?ショウは背中の羽根たくさん使っているの?

使うことに後ろめたさはないの?」

「僕は。」言葉が無い。この世界、無いなら借りればいい。この考えがスタンダードだ。だが僕には無理のようだ。受け入れない。

「アヤ、君は正しい。自分の握力だけで弓を引くことは素晴らしいことだ。僕も正直、ダンクシュートが決めれず、もどかしい時もあるが、自分の力だけでシュートを決めたい。借りものは嫌だ。」

「でしょう。」アヤが笑う。「そうだな。でもアヤがいってたんだぜ。最初が大事って。そのために借りものの力でもかまわないぐらいの勢いで、僕にいってたな。」

「そうだっけ?」へらっと舌をだしてごまかすアヤ。

「かわいいな。」「えっ?何かショウ言った?」

「いや、別に。」

アヤが真面目な顔で「ショウでもね。物事のはじめはすべてスタートが大事よ。

その時のポジションも、とても大事。ショウがやってるバスケだってスタートのセンタージャンプのポジションどりは大事でしょう。」

「まあーな。しかし、羽根はもう、いいや。いらない。アヤじゃないけど、僕の得意な3ポイントシュートでユニフォームゲットするよ。」

「そう、がんばれ!」

「じゃあ、アオイたちが待ってるから、じゃあーな。」

「バイバイ。」

僕は弓道場を出た。足が浮く。心がざわめく。これが誰かを好きになるスタートなのか。




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