第2話 軽い電磁波・弓道部のアヤ
授業は終わりあっという間に放課後。今日からバスケ部活開始。入部を許可された僕は嬉しくてたまらない。アオイが「ショウ、急げ新入部員はボール出し、先輩達が来る前に準備があるぞ。」
「分かってる。追いかける。先に行ってくれ。」
なぜか僕は小さい頃か、こうだ。気持ちだけはせっかちに急ぐが,
急いでいるつもりだが一歩出遅れる。結果はOKだから気にしていないが。気持ちと行動にズレがある。もどかしい。それに比べてアオイもルイも要領がいい。スマートだ。それにイケメンだ。僕の中の嫌な嫉妬が「ポコッ」小さく煙る。
ふーっと消すと同時に女子が「ボン」僕にぶつかる。
「ごめん。部活始まるの。急いでて。
君は昨日の。私、アヤ。君は?」
「ショウ。」
「ショウ、ごめんね。急いでるの。君も部活遅れないように。初日は大事よ。」
アヤの後姿を僕は追った。僕の頭に軽い電磁波が走る。
昨日の弓道部の女子か。握力が無いから握力を借りるって言ってな。好きな先輩のためにけなげ女子だ。おもわれている先輩が少し羨ましい。チャイムがなる。部活が始まる。急がないと。アヤも初日は大事よって言ってたしな。
僕はカバンを取り急ぎ体育館へ向かった。
「遅いぞ。ショウ。」さわやかな声でアオイが僕を呼ぶ。
ルイも「ショウ。セーフだ。まだ先輩たちは来てないぞ。」
「良かった。」僕らは他の一年の部員達と一緒にシュート練習をした。
フリースローライン外1mからジャンプ。シュート「スポっ」気持ちいい音が響く。3ポイントシュートを決める僕。
ドリブル、ルイのディフェンスをくぐりダンクシュート。ブロックされる。
もう一度ドリブル。僕は羽根を使う。「スポっ」ゴールが決まる。ダンクシュート。
ルイが「ショウ、やるな。ナイスシュートだ。」僕の頭に軽い電磁波が走る。
アオイも「ショウ、僕と勝負だ。」僕はドリブル。羽根を使い「スポっ」ダンクを決める。アオイも「ナイス、シュート。ショウ。」また軽い電磁波が走る。
羽根は僕のカラダの一部となり同化している。羽根は、けして異なる手段ではない。
”僕はズルはしていない。”
先輩たちがコートに入る。力強いドリブルの音が体育館中に響く。いい音だ。心も高ぶり神経が手に集中する。
キャプテンが「練習開始。レギュラーはコートに。一年はサイドコートでシュート練習。」
「はい。」声が体育館に響きわたる。
サイドコートより先輩たちの練習を見る。僕と同じ羽根の先輩も数人いる。みんな自然体に羽根を同化し使いこなしている。ジャンプ、ダンク。フォームきれいだ。
キャプテンの声「アオイ、ルイ、コートに入れ。」
2人の顔を見た。うれしそうだが、すぐに顔が引き締まる。緊張している。
まあ、当たり前だ。1年が2年、3年の先輩たちと同じコートに入るだけでも圧がかかり緊張でカラダはうまく動かない。しかし。僕は呼ばれなかった。キャプテン、昨日の入部テストは「完璧だ。」と褒めてくれたのに。心で何かくすぶる。
僕のこの羽根は。羽根は役に立たないのか。偽物の羽根ではいけないのか?
僕はサイドコートでドリブルのリズムが乱れる。「キーン」と電磁波が走る。
体育館入口から長い弓道の弓が見えた。弓道部が武道館に移動しているようだ。
チラリ。アヤがいた。長い弓を持ち袴姿が美しい。アヤの両腕が借りた握力でおおわれている。思い弓を抱えている。借りた握力。それでもその両腕は僕にはとても眩しく輝いて見てた。なぜだろう。
「ピッ、ピーッ」ホイッスル。「休憩。」キャプテンの声。僕は武道館に走った。
僕は何をやっているんだろう。
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