ポジション鳥
京極 道真
第1話 羽根を借りる僕
「おっは!」いつも通りの朝の登校。駅からの坂道カバン片手にアオイに絡む僕。
「やめろよ、ショウ」アオイのカバンでバッチン叩かれる。
「お前ら何、やってるんだ。」今度はルイのカバンがアオイをバッチン。僕らはいつも通りにふざけながら校門をくぐる。「キーン。」僕の頭に電磁波が走る。なんだ?
アオイが「ショウ、ぼーっとするな行くぞ。」僕らは下駄箱で上履きに履き替え教室に向う。僕らは星ヶ丘高校1年。バスケ部入部希望だ。クラス1-A同じクラス。同じ中学バスケ部出身だ。アオイは身長189cmセンター希望。ルイも同じく188cm。高長身だがガード希望。僕はありきたりの180cmぎり。センター、トップ、ガードどこでもできるオールラウンダーのつもりだ。今日は部活正式入部届日だ。
放課後3人でバスケ部へ入部するつもりだ。
入学から1週間、教室はざわついている。正直僕ら3人はバスケ以外に興味はなく同じくクラスメイトの顔さえ覚えてない。
チャイムが鳴る先生が「おはよう。みんな静かに。入学から1週間が過ぎた。今日から部活がはじまる。入部希望者は放課後に入部届を出すように。何か足りないものがあれば職員室で貸し出す。」
先生の話が終わるといつも通りの授業が始まる。
「隣の女子達の話が耳に入る。私、弓道部に入りたいんだけど握力がなくって。じゃあ、入部前に職員室で握力借りてきたら。先生貸し出しするって言ってたじゃない。」
「そうね、そうする。私、弓道部に好きな先輩がいて、どうしても一緒の部活に入りたいの。」
「じゃあ、放課後職員室ね。私は、美術部に入りたいの。でも色のセンスがなくって。でも絵を書くことは大好きなの。」
「じゃあ。職員室で色彩のコントロール表でも借りたら?」
「そうね、でも色彩表じゃなくって色彩コントロールペンを借りることにするわ。」
「そうね、それいい。なんでもはじめが肝心よね。」
「そうそう、はじめ良ければ、すべて良しっていうしね。」
「キーン。」僕の頭に電磁波が走る。
女子が急に振り向き僕を見た。「ショウ君は何を借りるの?」
女子は借りることが前提のように僕に聞いてきた。借りるつもりがなかった僕。
しかし、女子は当然のように聞いてくる。
何も考えず。「バスケ部に入るつもり。そうだな...身長が高いとダンクシュートが入りやすい。背の高くなる身長でも借りろうかな。」
即答、女子が「それは無理。身長の貸出しは、していなようよ。ダンクしたいなら羽根でも借りれば?」
「羽根?」
「そう、背中に羽根をつければ高くジャンプもできるし、バスケにはいいんじゃない。」
「そうだな。僕は羽根を借りることにきめた。」
僕は妙な違和感を感じながらも、羽根を借りること口にした。
チャイム、授業があっという間に終わり放課後。職員室にはかなりの生徒が並んで貸し出しを待っている。
アオイとルイは特に借りたいものは無いらしく
「ショウ、悪い先に体育館へ行ってるよ。」
僕は長い行列を見ながら「そうだな。借りたらすぐ行くよ。」
「おう、じゃあ、後で。」2人は体育館へ。
僕は1人、長い行列に並んでいた。ざわざわ話し声が聞こえる。
「無いものは貸し出しって、いい学校よね。」
「そうそう。無いものは借りちゃえばいい。ほんと簡単でいい方法だ。」
あれ?長い行列の生徒たち?生徒じゃなくてみんな顔が無いな?
僕は左右に首を振った。目の前には生徒の顔、生徒たちが並んでいる。
感覚おかしくなったようだ。
順番が進みだし僕の番だ。
先生が「ショウ君、君は何を借りたいんだい?」
「ダンクシュートをたくさん入れたいので先生、羽根を貸してください。」
あれ?先生の顔がクマさんになっている。僕は左右にまた頭を振った。
先生の顔は人間の顔にもどっている。
あれ?「ショウ君、どうかしましたか?」
「いいえ、」
「では、羽根を貸し出します。」
僕の背中に羽根が生えた。「バタバタ」動かすと体が宙に浮く。
まるでカラスのようだ。「先生、この羽根取り外しできるんですか?」
「取り外しはできませんが、使いたいとき使えて、使わない時はしまえます。
まあ、ショウ君の気持ち次第ですね。」
「はあ、そうですか。とりあえず、ありがとうございました。」
僕は急ぎ体育館へ行く。間に合った。アオイ、ルイが僕を呼ぶ。
「入部テスト、これからだ。キャプテンが3本シュートを決めた者は入部できるんだって。フリースローでもダンクでもどんなシュートでも入ればいいんだってさ。」
アオイが決めた。次にルイ。2人とも完璧だ。僕の番だ。ここで羽根を羽根を使うぞ。シュートが決まる。キャプテンが叫ぶ。「ショウ、君のシュートは完璧だ。」
「ありがとうございます。」僕は心の中で思った。職員室でこの羽根借りてよかったと。そして次の日...がはじまる。
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