3

(人間との会話はこんな感じでいいのかな?)


 ふと、目線が交錯する。



 佐々木優斗、18歳。

 俺の本当の名前は、えぇと、ここでは発音できないので仮にYとする。

 別の星の者だ。


 端的に説明すると、まぁよくある通り、住んでいる星は資源が枯渇、成熟した文明が暴走して破壊され、星をあげて他に似たような環境を持った、移住できる星を調査しているところなのである。

 俺はその星の公務員で、調査員としてここに派遣されている。


 俺の見た目で混じっていてもおかしくなく最適だと判断した結果、何の変哲もない男子に大学生に擬態した。感情の起伏でツノが出てしまうので、そこだけは気をつけなければいけない。


 地球に赴任して、一週間。

 先程は少しバタバタしていたのだ。他の星の好戦的な調査員らしき男に素性がバレたらしい、朝からマンションに押し入って来たので、逆に強力な麻酔針を打って殺してしまった。

 入学式とやらに出席しないとけないので、とりあえずバスルームに死体は押し込んでおいたが、帰ったらどう処理すべきかスマホとやらに見せかけた通信機器で上司に連絡を取っていたところだった。



 それにしても、ちょうどいい。おとなりに住む彼女とは、何故だか仲良くなれそうな予感がする。

 この地球人を手始めに、人間とやらの本性を調べてみるのかもいいかもしれないな。





 今日も私たちは、玄関の外で会うと何気ない会話を交わす。


「こんにちは」

「こんにちは」


 さぁ、侵略のための調査といきましょうか――

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