杞憂の果てに……


 賢いロボットとして好評を博した「R10」型がアップグレードした。
 より賢くなった「R20」型は、まさに完璧なモデルとして世を席巻するものと思われたが、予想外のトラブルが続出してしまう。
 原因の解析を求められたロボット企画部の部長は一計を案じる。



 昔、杞という国に天が落ち、地が崩れると憂いて食事も睡眠も取れなくなったという人がいたようです。
 それが「無用の心配」を意味する「杞憂」の由来となったのですが、ひょっとしたらその人には物凄い先見の明があったのかもしれない。
 賢い人の中には、周りを深く洞察しすぎて大きい心労を抱えてしまう人もいるようですが……
 ロボット(AI)に感情が宿れば、そういった悲しみを生み出すことになるのかもしれません。