本作品は、恋人同士の心の機微を丁寧に紡ぎ上げた物語である。
ミヅキとタイヨウという二人の若者の甘酸っぱい青春の一齣を切り取りながら、人間の心の深淵に迫る洞察に溢れている。幼馴染の親友ハルコを相談相手に、ミヅキは恋人タイヨウとの関係性に悩む。
幸せな時ほど不安になり、愛情表現への「許容量」が追いつかない自分に苛立つ。一方タイヨウは、ミヅキを思いやるあまり、本音を押し殺している。
しかし物語が進むにつれ、二人は互いの気持ちを言葉にし、ぎこちなくも一歩ずつ近づいていく。タイヨウの優しさと情熱に触れ、ミヅキの心は少しずつ解きほぐされる。
特に印象的なのは、恥じらいと歓びが入り混じる官能的な場面だ。タイヨウの吐息とミヅキの鼓動が重なり合い、二人の感情が言葉を超えて繋がっていく。
人を好きになることの喜びと苦しみ。幸せを感じる時ほど、それを失う不安に囚われる心理。そして言葉にできない思いを伝え合おうとする努力。
本作はそんな恋愛の本質を鋭く抉り出している。
恋する人に、ぜひ読んでほしい。
高校の頃からタイヨウ君と付き合っているミヅキは旧友のハルコに悩みを打ち明けた。「(恋人らしいことをするたびに)確認をしてくる」と。嫌ではない、嫌ではないけど恥ずかしい。もやもやとした気持ちがふわとろに溶ける第三段。
『幼なじみが私にだけ敬語を使ってくる』『幼なじみが私にだけ変わらず敬語を使ってくる。』の続編です。これ単体でもいけます。これ読んで、読み返しても楽しいです。
この二人、めちゃくちゃ推してるんですけどね。にやにやにこにこしながら安心して読めました。
最終話の甘さにコメント欄が溶けていましたからね。仕方ない、あの糖度なら。わたしも溶けてましたから。