18歳のありがとう

影神

穢れの無い清白



『今まで育てて来てくれて、ありがとう。』



口から出た【詞】が言えるかどうかで。


本当に成人したのか。してないのか。


きっと。判断する"基準"になるのだろうか。



【血の繋がった家族】


【本当の肉親】



そういったモノが。


当たり前の様にある幸せ。



勿論、愛の形に型は無い。


沢山の様々な【色】や【匂い】がある。



けれど、今の自分が欲しかったのは、


皆が当たり前の様に持っていた"それ"だった。



「今まで育てて来てくれて、


ありがとうございます。」


「本当に、立派になったねえ、、


こちらこそ。


元気に育ってくれて、ありがとう。



これから大変だと思うけれど、


頑張ってね。」


「はい。」



知らない家族達と育ったこの場所から。


たった今から、旅立たなくてはならない。



別に大した思い入れがある訳じゃない。



"ここにしか、居れなかったのだ"



他に自分の【居て良い居場所】なんてのは、


無かった。


ただ。それだけだった。



不安は多くある。


帰って来れるこの場所は、


もう、自分の場所ではない。



「じゃあ、今日からよろしくね。」


「はい。よろしくお願いします。」



狭く、古い部屋。


タバコの臭いとカビの臭い。


今日からこの場所が、自分の居場所だ。



この仕事が好きか。


そう聞かれたら、そうではない。



きっと自分の人生では、


"選択をする"という事が。


させては貰えないのだろう。



自由と呼ばれるモノは、


存在しない。



水に流されてしまう様に。


その流れからからは、決して逃れられないのだろう。



こんな人生でも、


社会的な【恩恵】と呼ばれるモノも特に何も無い。



成人の年齢がただ引き下げられたのと、一緒だ。



世界は、生きずらい。


でも、生きなければならない。



どうしてか。



それは分からない。



どうして生きているのか。


どうして生きなくてはならないのか。



自分は幸せになれるのか。


自分は、幸せで居て良いのか。



それすらも自分には分からない。



ただ、生きる。



多分。成人したという事は、



その意味を自分で見付けるという事。



なのかも、知れない。



成人おめでとう、自分。



頑張れ、"成人"。


























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18歳のありがとう 影神 @kagegami

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