エピローグ

「お葬式、無事に済んでよかったわね」


「なんかあっけなかったなぁ」


「半年前くらいに調子悪くなってそこからはパタパタと……」


「小説書きあげてから、急に元気がなくなったんだよな。燃え尽き症候群ってやつ?」


「まあ、なんにせよ感謝しかないわ。病院とか介護の手間とかほとんどかからなかったし」


「不謹慎な言い方するなよ。まあ、事実なんだけど……」


「そういえば、入院した後も、紙に何か書いてたらしいわね。最後まで小説家だったってなんだか素敵じゃない?」


「うん……でも書いてたの、これらしいんだ」


「うわ……なにこれ。呪いみたいじゃない」


「死ぬ直前まで、暇さえあればずっと書いてたらしいよ。なんか悪い事しちゃったみたいだな」


「でも、ちゃんと読んだんでしょ?」


「もちろん。書き上げたその場でちゃんと読んだよ。父さんの作品」


「じゃあ、やっぱりおかしくなってたのよ。私言ったじゃない」


「そうかもなぁ。自分の父親がボケてたってなんか悲しいわ」


「ほら、いつまでもへこんでられないわよ。謙太の受験まで日がないんだから。切り替えないと」


「……そうだな。『どんな人生にも価値はある』」


「なにそれ」


「父さんの作品のテーマ。いいこと言うよなぁ」


「えぇ? ちょっとありきたりじゃない?」


「バカだなぁ。一周回ってそういうまっすぐなメッセージがいいんだよ。で、謙太の一次受験っていつだっけ?」


「えっと、課題の提出が再来週で、面接は……」
































『読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読め読……』

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