ずぶ濡れの女

ある雨の日傘もささず歩いている女が

全身ずぶ濡れにも関わらず気にもとめずに歩いている

「どこまで行くんですか？ 風邪をひきますよ 」

前を歩いてきた男が そっと傘を差し出す

女は首を横に振り その申し出を断った

やはり初対面の男性の傘に入るわけないか

男がそう思っていると 女は言った

「私 さっき人を殺したの このナイフで 全身血まみれになっちゃった

それで 全身に付いた血を洗い流しているの

ねえ 綺麗になったかしら でも ・・・」

「でも？」

ここまで聞いて逃げればいいのに

続きが気になり思わず聞いてしまう男

「また すぐに汚れちゃうかな 」

そう言いニッコリ笑い男を見つめる女

その 手にはいつの間にかナイフが握りしめられていた