いきなり不条理な書き出し。理屈に合わないその世界は饒舌なこの小説の中ではっきりとは説明されません。ずっともやのなかを進んでいき、最後に驚きとさみしさと喜びと諦めが心を満たし、少し疲れていた私を癒やしてくれました。最後まで意味が分からなかった。でもそれがいい。素晴らしい佳品です。また読み返したら意味が分かるかもしれない。
自主企画で出会ったので一曲献辞を。 Alive (breakwater) ただ生きているだけの人間と愛がそこにある、というのが二人の出会いを通じて伝わってくるのが素晴らしいです。
父親が屈折度測定器!?一体どういうことなのか、と疑問に思う読者を物語の世界に誘う筆力の高さに驚かされます。気が付けば作者の紡ぐ不思議な世界にリアリティを持って没入しているのです。そして屈折度測定器に愛情が湧いてくる。自分が検査するときに、気球に文字が書いてあったらいいな、なんて思ってしまいました。作者の観察眼には驚かされます。素直に読んで楽しい!面白い!と思える素敵な物語でした。
ジョンレノンはオノヨーコの個展会場におかれた三脚にのぼり、虫眼鏡を手にして「それ」を見た。ジョンは恋に落ちた。そんなすばらしい恋の物語を思い出した。ときめきました。そして。全編に散りばめられた宇宙規模の愛が、私たちを包んでくれました。ひたすらにやさしい愛の物語。ありがとうございました。