元社畜、クソガキ王子の金のスプーンに転生しました。

Asahi-Yuhi

金のスプーンは社畜です。

──俺は、なんで舐められているんだぁぁぁぁああああ!!


 そんな俺の叫びは、俺を舐めるガキには聞こえてなさそうだ。


ーー


 俺は、彼女いない歴=年齢の独身社畜男だった。


 毎晩クソ上司に残業させられ、彼女を作る暇はなく、挙げ句にはてに罰ゲームで部下に告白された。


 しかも、筋肉ムキムキな男だ。


 こんな悲しいことあるか?


 人生で唯一告白されたのが罰ゲーム。


 俺はもちろん振ったけども。


 んで、先ほど疲労が溜まったのか、お風呂で溺死した。


 いいヤツだったよ、俺。


 そして、何だかんだで転生したらしく、高級そうな食器棚の中にいる。


 俺、前世で悪いことしましたか?


 なんか、俺も高級そうではあるけど、俺って、スプーンじゃね?


 この形、この見た目、この丸み。


 てか、喋れねーし!


 俺、このまま一生ここで観賞用に置かれているんだろうな、、。



 と、ついさっきまで思っていました...。


 執事っぽい服装の人に俺をつままれ、連れていかれたと思ったら、王冠を被ったガキの前のアイスの近くに置かれた。


 そして、今、どうやら王子らしいガキにベロベロ舐め回されていま~す。


 スプーンに残ったアイスも食べたいと言う気持ちは分からなくもない。


 しか~し、これ程ベロベロする必要があるのか?


 否、必要ないと思えた。


 王子は五分の一くらい食べたら、トイレにでも行くのか、部屋を出ていった。


 ここにはあの執事っぽい男と俺だけ。


 あのクソガキ王子、舐めすぎじゃー!


 俺はそんな怒りを秘めていると、口が出来た。


 んんん?


 俺の口っぽいものが開く。


 目の前にはアイスが。


 俺は、食べたい気持ちと近頃の疲労が勝ち、ついつい、一口食べてしまった。


 王子が食べるアイスが不味いはずがなく、俺はもう一口、もう一口と食べていった。


 俺を見たのか、突然執事が倒れたが。


 お年寄りは大変だねー。


 んで、俺は、アイスを全部食べてしまった。


 ついでに俺は、スルッとアイスの皿を滑ってコケかけた。


 俺が食べ終わったアイスをどうしようかなぜか使えなくなった口っぽいものを動かそうとすると、クソガキ王子が帰ってきた。


 なんか執事に向かって怒鳴ってる。


 ああ、執事が食べたと思ったのか。


 それなら俺は怒られねーし、良かった良かった。


ーー


 それから、俺を使うたびにアイスが食べられるものだから、王子は奇妙がって使わなくなり、俺は錆びていった。


 転生して一年ほどたったある日、新人メイドのミスにより、俺は壊れ、廃棄された。


 そして今度は、フォークに転生していた。

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