第5話

 ザックに最高警戒の命令を下したティアは、かつて彼が軍で信頼していた仲間たちを一時的な警備員として雇った。それでもなお、バールヴィエット家がターゲットになっている可能性があると考え、ティアは新たな同士たちに、長期間の警備としてバールヴィエット家に留まるよう命じた。


 屋敷は夜ごとに静まり返り、風の音と時折聞こえる警備の足音だけが響く。そんな中、ルイの心は静かになることがなかった。夜が訪れるたび、彼は訓練場で更に多くの時間を費やし、何度も何度も練習を繰り返した。まるでそれだけが、彼の心を悩みや疑念から一時的に逃れさせてくれるかのように。


 ある夜、訓練を終えたルイは、夕食後にティアが花茶を楽しんでいるダイニングルームを訪れた。


「ルイ、こんばんは!」ティアは、隣に座ったルイに花茶を注いで差し出し、お互いに対面して座った。


 ルイの目には疲れと思索が溢れていたが、ティアには微笑みを返した。彼に必要なのは、たった一杯の花茶以上のものだと、ルイ自身も知っていた。


「ティア──ああ。」とルイは言葉を切った。ティアがすでに答えを知っている質問を繰り返す必要はないと、ルイは感じていた。これまでの日々、過去の会話や父親が残したノートから手がかりを得て、そして自宅が襲われた理由について深く考えていた。


 ルイは一口茶を飲み、鼻を抜ける香りを味わった後、もう一度口を開いた。「これはあまり質問にならないかもしれないけど、いくつか確認しておきたいことがあるんだ......」


 ティアは静かにルイを見つめ、耳を傾けた。この問いがいずれ出ることは避けられないと、彼女も感じていた。


「僕は今、アンパリ家の唯一の直系として、ディスニカ・ディオンリスの血を引いており、つまり王族の血統を持っていることになる。同時に、僕はゲイルの子であり、前国王の信奉者で、前の血魔の息子でもある。つまり、現在のこの国、革命軍が掌握するケールドにとって、僕は排除されるべき存在なんだ。アンパリ家が襲われたのも、おそらく革命軍の仕業だろうな。」


 ティアは微笑みながらうなずいてルイに答えた。「その通りよ。私が倒した者の中には、ケールド軍の一人がいたわ。彼は以前からあなたの父親と対立し、軍を分裂させた人物よ。」


 少し躊躇した後、ティアはまた口を開いた。「──実は驚いたことに、その中にはある貴族の家紋も見つかったの。通常、貴族は直接手を下したり、自分の人間を危険な仕事に使ったりしないものよ。彼らがそこまでしているのは、落とした全ての首の身元を確認し、確実にするためだろうね。」


「僕たちを襲った人間に貴族がいるってことか……どの家族なんだ?」とルイは眉をひそめ、事態は想像以上に複雑だと感じた。


「──いや、ルイ、その家族の名前を直接教えることはできないわ。ごめんなさいね。」とティアはため息をついた。この情報がルイにとって非常に重要であることを知りつつも、直接伝えることが彼にとってより大きな危険をもたらす可能性も理解していた。


「新興貴族には強力な魔法使いが十分にいるはずがない。持っていても、数は少なく、彼らをこんな任務に使うことはしないだろう。でも、前にも言ったように、この平和な時代に、伝統的な貴族の中には衰退する者もいれば、革命によって打倒される者もいる。わずかな数の家族だけが、早期に成功した転換や他の事業への参入によって生存の余地を得ている。バールヴィエ


 ット家の魔法士院のようにね。最後にはわずかな数の家族が残り、新興貴族と協力するか、さらには融合して、家族の古い歴史と現在のケールドの主流経済を組み合わせることで、強大な機会を得たのよ。」


 ルイの顔は決意に満ち、ティアの後ろで舞う炎の光が彼の瞳を輝かせていた。彼の心には疑問と不安が満ちていたが、同時に強い信念もあった。この全ての謎を、彼自身が解き明かさなければならない。


 その後、ティアはルイを抱きしめた。「ルイ、あなたは賢い子よ。でも……これらのことについては、あなたの心の中に既に答えがあるはずよ。」


「時が来れば、あなたの光は、あなたの力と共により眩しくなるわ。自然と、あなたが知るべき情報が手に入り、その人たちもあなたを見つけ出すでしょう。その時までは、自分を隠して。」


 ティアの言葉に、二人はしばらく沈黙した。月の光が窓から差し込み、部屋の隅々を照らした。ティアはルイの返答を待っているかのようだった。


「ティア……未来にルイ・アンパリになるか、それともこの人物を探求するだけなのか、どちらにせよ、その前に、僕はルイ・バールヴィエットだ。」と彼は言った。


ダーク・タイズ - ザ オリジン、完。

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ダーク・タイズ - ザ オリジン 阪ヤ @amagawarui

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