震災時の応急危険度判定士の活動

十三岡繁

応急危険度判定

 建築士には応急危険度判定というボランティア活動があります。(基本的にはボランティアですが予算がつけば少しだけ手当が出る事もあります)


 平常時に講習を受けた建築士が都道府県単位で登録しています。普段から招集訓練なども行っていて、緊急時にどれくらいの人数が活動可能なのかを試したりもしています。


 大地震などが起きたときに、現地に赴いて被災した建物を基準に従って三段階に分類していきます。そうしてその分類が誰からも分かるように建物に赤青黄色(信号と同じく青は緑の方が近いかも)の色のついた紙を貼ります。


 赤い紙が貼られた建物は、原則として立ち入り禁止です。禁止と言っても法的な拘束力はありません。立ち入れば命の危険があるという我々サイドの判定です。


 判定は一人の人間が行うと偏りが出る可能性があるので、基本的には二人一組で行います。これは二次災害を防ぐ目的もあります。登山と一緒ですね。震災直後なので余震が来る可能性もあります。なので中に立ち入ることは原則ありません、外部からの目視確認が主です。


 熊本の震災時には、福岡の建築士にもお呼びがかかりましたので私も参加しました。現地での活動時には行政などに対するいら立ちを被災者からぶつけられることもあります。


 なかなか一般の人には活動内容を知ってもらう機会も少ないので、ここで書かせていただきました。


 今回は遠方なので、出動することは無いと思いますが、能登半島地震の被害がこれ以上広がらない事を祈ります。


※現在の耐震基準は、一度の大地震を受けても建物が倒壊して中の人命が失われないようにする事を目的としています。なので一度被災してしまうとダメージが蓄積して余震で倒壊する可能性が残ります。そこは我々専門家の判断に従って頂ければ幸いです。

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