働くことの迷宮

栗田吉男

第1話なぜ私は働くのか

パソコンを触って早1ヶ月が経過した。

うちの会社には労働基準法がないのかもしれない

今日も最終電車が発車する音が聞こえた。

今日も寝ずに仕事をするのかもしれない。

私はこの会社で働く意味がわかってない

就職活動をするときの求人票について何も知らずにただアットホームという言葉につられ、入社したが、後々ネットで調べてみると「アットホーム」はブラック企業の常套句のようだ

次の日の朝まで仕事か・・・

そう悲しみながら仕事していたら、いつの間にか朝になる。やることが多すぎて時間がたつのは意外と早い。

上司が来た。

「海斗お前に休みをあげよう」

私はついに1ヶ月ぶりの休みを手に入れることができた。

家に帰るために西大寺駅に来た。

姫路方面から黄色い電車が来た。

私はどうでも良くなった。

アレにぶつかれば死ねるんだ。

そう考えてしまった。

足が前に進んでいく。

急に腕を捕まれた気がする。

「危ない!!」

後ろを振り返ると高校時代同じクラスだった伊藤こころだった。

「あれっ!?海斗君じゃん!!」

こころは高校時代からモテまくっており、100人以上から告白されていた。

かく言う私も伊藤こころに好意を抱いていた。

恥ずかしかったから告白はしなかったけれど。

電車で隣の席に座って会社がブラック企業であり、1ヶ月ぶりの帰宅であることを話した。

「それは大変だね。」

こころは今何してるの?

「私は今は林原グループで働いてるよ。」

※この話の岡山駅周辺の風景はニコニコ大百科あたりで「大都会岡山」と検索したらある程度出てくるよ!!

林原グループとは岡山にある大企業であり世界一のホワイト企業でも有名だった。

私が余計に惨めになっていくようだ。

岡山都は周りの体裁を保つため兵庫、広島、鳥取、香川の近隣の市と、倉敷駅、岡山駅周辺はホワイト企業を設置し、それ以外のエリアではブラック企業が集結するという地獄絵図になっている。

西大寺も同じことがいえる。

しかもその区間ではブラック労働がきっかけで病んで自殺する人が多数なのである。

その警備に努めるため各路線ごとに警備隊を設けているほどである。

しっかし西大寺で会うとは思わなかった。

西大寺に何しに来たの?

「西大寺会陽を見に来たの!!」

西大寺は奇祭としても有名な裸祭りがある町として知られている。

もうこんな時期だったのか。

岡山は雪が降らないから季節感が狂うんだよな。

そう考えた私はこころと一緒に西大寺会陽を鑑賞することにした。

一ヶ月ぶりの休みだし、楽しむことにしよう。

そう決意するのであった。

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働くことの迷宮 栗田吉男 @riikun0516

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