最終話 最愛の相手との幸せな時間

 後日、俺達は遊園地に来ていた。


 メンバーは、俺とすみれと、隆元と浅丘。


 結局、俺とすみれが付き合うことになったように、隆元と浅丘も付き合うことになったらしい。

 

 きっかけは、あの、ニンジンクッキーと、俺。


 隆元は、浅丘が作ったニンジンクッキーをうまいうまいと食べながら、懐かしくなって子供の頃の俺との思い出話をしたらしい。


 すると浅丘は、その時は俺の事を好きだったから、それを興味を持って聞いていた。


 そうして俺の話で盛り上がっている間に、互いの話もするようになって、どんどん親しくなっていったようだ。




 ルームシェア相手が発表された頃は、『なあ、匠。俺の相手と匠の相手、交換しない?』そんな事を言っていた隆元に、今でも相手を交換したいか聞いてみると。


「全然!! 今は弥生しか見えない」


 隆元は、はっきりとそう言い切った。


「だよな。俺も。今はもう、すみれしか無理だわ」



 俺も隆元も、自分のスマホのAIアプリでの診断結果は今の相手とは逆だった。だから今の相手とは逆でも、相性自体はよかったのかもしれない。


 けれど、人が人を愛するのって、相性だけの問題ではない。

 共に過ごした時間の分、愛情はどんどん深くなっていくのだ。


 それは、たぶん俺の事を好きだったらしい浅丘も同じ。



「ねえ、隆元君、観覧車乗りたい」


「おう、行こっか、弥生。じゃあ、匠、また後でな」


「おう」


 互いに腕を絡め合う親友と元好きだった子の仲睦まじい姿を見て、心から微笑ましく思う。


 それは、今、俺とすみれが腕を絡め合っているこの姿と、似ているからかもしれない。


「ねえ、匠君。私も匠君と観覧車乗りたい」


「うん、じゃあ、俺達も行こっか、すみれ」



 そして俺たちも、隆元たちが乗った観覧車の隣の観覧車の中で、二人きりの時間を楽しんだ。


「あ、見てみて匠君! 私達の部屋と、弥生ちゃん達の部屋が見えるよ!」


 観覧車の中からは、俺達が一緒に暮らしているあの部屋が見える。


「あ、ホントだ!」



 AI相性診断の結果、ルームシェアをすることになった学園の高嶺の花は、今では俺の最愛の人。まだまだ俺達はあの部屋の中で、甘くて幸せな時間を、紡いで行くのだ――。





(完)


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空豆 空(そらまめ くう)


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学園1絶対的アイドルの幼馴染みが、アイドルオタクの俺の部屋で突然寝てたんだけど。今、告られた気がするのは気のせいですか。

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AI相性診断の結果、ルームシェアをすることになった学園の高嶺の花は、俺の前でだけ健気で可愛いので、いつの間にか甘くて幸せな日々が始まりました。 空豆 空(そらまめくう) @soramamekuu0711

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