1話目で、主人公の思いがぐっと胸に迫る素敵な物語だと思い、カテゴリーをみると「ノンフィクション」。
さてはカテゴリーを間違えているのかしら、勿体ない……と思い作者様に聞くと、なんとノンフィクションで間違いないとのお答えが!
そんな事前情報ありで、読み進めれば辛くなる等身大の思いがより胸に迫りグッときます。
ここまでまとまった綺麗な文章に出来るくらい昇華した思い出は、きっと良いことも、キツかったことも、作者様の感受性を豊かにする糧になっているのでしょう。
登場人物の誰かに、自分の思春期を投影し、懐かしい想い出が鮮やかに蘇る。
感情を揺り動かされるお話です!
主人公は中学生の男子生徒。意中の女の子がいても、本音で話すことが出来ずにいた。そして本心ではない、ついてしまった嘘。このことをきっかけに彼女との人間関係が綻び始める。本当は好きなのに。伝えられず、時間だけが過ぎていく。このもどかしさ、切なさは実体験で得られるような現実性を帯び、リアリティに溢れている。またこの物語、驚くべきことに登場人物の名前が一切出てこないのだ。
僕、彼氏、彼女、恋人、クラスメイト、幼馴染……脳内ストレスがほとんどかからないため、どんどん読み進められるメリットも特筆したい。心の機微が繊細なタッチで描かれる青春の物語。オススメの一作です。