おいでませ、なろうエッセイ!

 どうも、熊ノ翁です。

 今は九月。

 気づいたら熊がこうやってエッセイをネット上で公開するようになって一年が経ちました。

 この一年間、皆様が投稿されたエッセイを読ませてもらったり自分で色々とエッセイを書いてみたりして、熊自身もどうにか「ああ、なろうエッセイってこんな感じの所なんだなぁ」という空気感が多少はわかってきたように思えます。


 ありがたいことに「熊さんのエッセイ読んで、ちょっと自分もエッセイ書こうかなって思いました」「なんかエッセイ書きたくなってきた」等という声もちょこちょこ届いてきたりしております。


 そこで、今回は「なろうでエッセイ書きたいけど何書きゃいいかわかんねえ!」という方に「こんな感じの事書くと良いんじゃないかな?」というご提案を熊からしていこうかと思います!

「どうしよっかなー、ちょっと書いてみよっかなー、でもなー」と、どの部活に入ろうか悩む学生さんのような心境になっているそこのアナタ!

 熊があなたの背中を全力で押しますので、どうぞ安心して崖の下まで転がり落ちていって下さい!

「おいでませ、なろうエッセイ!」

 

 はてさて、小説家になろうにおいて、現時点では残念ながら過疎ジャンルに分類されている、我らがなろうエッセイなわけですが。

 まず「エッセイ」と名がついているだけあって、当然ながらここで書かれている作品群は「小説」とは異なります。

 小説家になろうによくある、異世界で活躍する勇者達の物語が書かれているわけでもありませんし、悪役令嬢も特に出てきません。

「じゃあエッセイって何を主人公にしてどんな話を書きゃあ良いんだよ!」という事になるわけですが。


 基本、エッセイは「あなたが主人公で、あなた自身の話を書く」ものになります。

 あなたが見聞きした事や、思った事を自由に書く。それがエッセイです。

 皆さんも知っている清少納言の書いた枕草子や、鴨長明の書いた方丈記、そして兼好法師の書いた徒然草あたりが「日本三大随筆」と言われて教科書でもおなじみですよね。

 

 つまりあれです。あれ、エッセイなんです。

 エッセイって乱暴に言っちまうと「随筆」なんですよね。

 詳しい区分はグーグル先生に聞くと吉。


 んで、そのさっき挙げた日本三大随筆にどんな事が書かれてるかってーと……


「あのさぁ、私思うんだけど蛍って超かわいくね?」

by枕草子


「俺、竜巻見ちゃったよ。屋敷も何もかんも全部ブッ飛んでった。まじパネェ」

by方丈記


「久しぶりに会ったからって自分の事ばっか話す奴、ガチでウザいんよな。空気読めや」

by徒然草


 と、こんな感じの事が書かれているわけです。(超訳、熊)

 自分が生活で感じた事や、実際に出会った出来事、あと日頃自分が思う事について書かれたのがエッセイであり随筆なわけですね。

 なろうエッセイもそんな感じで、皆さん実に様々な物事について書かれていらっしゃいます。


 一応熊の独断と偏見でスーパーざっくり大別するとこんな感じでしょうか。


・日常系

 生活の中で出会った出来事について語るもの。

 たとえば、近くの学校で運動会の練習してる子供見て「あー自分もこんな感じの事やってたよなー」とか。

 まあなんかそんな感じのエッセイ。

 後は、ペット買おうと思い立ってペットショップへ行き、犬にしようか猫にしようか金魚にしようか、はたまた爬虫類にしようか散々悩みまくり、よく考えてみたらペットの世話とかめんどくせえなと思ってやめて家に帰って不貞寝した経験談とか。

 日常の生活の中で自分が出合い、それについて思ったり感じたり考えた事を書くってタイプですね。


・特殊な体験談系

 なんかこう、そうそう無いような特殊な体験した時の事を語るタイプのエッセイ。

 実際に書かれていたエッセイで言うなら「2000万円が手違いで振り込みされてた」とか。

 後は、離婚した際のゴタゴタを書いたエッセイとかも人気でしたな。

 言っちまえば飲み屋で自分が語る鉄板ネタみたいな。


・知識解説系

 自分の好きな事や興味の湧いた事について解説するってもの。

 たとえば、音楽のロック聞くのが超好きで、昔流行ってたロックについて時代ごとにどんな物があったかその移り変わりを語る。

 歴史好きなら、自分の好きな戦国武将について生い立ちや功績を語る。

 自分の好きなゲームのシリーズについて、初代から最新作まで内容や当時のユーザー評価、自分が実際遊んでみての感想などを語る。

 とかとか。

 自分が興味のある、好きな物を語るってスタイルが取れるので、結構これ書きやすいというか筆のノリは良いんじゃないかと熊個人的には思います。


・時事ネタ系

 ニュースで話題になった事柄について自分の思う事や調べた事、知っている事を語るってタイプのものですね。

 これ、結構読まれます。

 何せ世間のトレンドをネタするわけで。

 実際、なろうのエッセイランキングでもコロナの騒動が酷かった時はコロナについての物が、安倍元首相銃撃事件の際にはその事についてのエッセイがランキングを占めていました。

 既に世間で騒がれている事柄を題材にするわけで、読まれやすいっちゃあ読まれやすいのですが、このタイプのエッセイについては一つだけ注意点がありまして。

 それは、流行り廃りの移り変わりが激しいので、ニュースが世間で騒がれ興味を持たれている間になるはやで書き上げてUPする必要がある、というものです。

 もちろん、自分が格別興味関心を抱いた話題を時間かけてじっくり調べて書き上げるのもアリなんですが……

「とにかく流行の話題に触れて多くの人に読まれたい!」と考えるのでしたら、ある意味ブームの終わらないうちに書き上げる事が出来ないと「結構うまく書けたと思ったのに、書いてる間にブーム過ぎ去ってそんなに読まれなかった」という残念な目に遭うかもしれません。


・なろう系(光属性)

 読者として、作者として小説家になろうで作品を読んだり書いたりする中で思ったり感じた事を語るタイプのエッセイ。

 例えば「なろうでこれから先どんな作品が流行るか」とか「長文タイトルを実際にやってみた結果について」とか。

 後は「私がオススメするなろう小説について」とかね。

 なろうのエッセイを読みに来る人は当然の事ながら小説家になろうのユーザーさんなわけでして、基本的になろうの話題についてある程度は興味のある方々です。

 だもんで、なろうについての体験や話題を基にしたエッセイというのは、小説家になろうにおいては結構読まれやすい傾向にあったりします。

 読み手書き手のどちらでも、自分自身が小説家になろうで「楽しいな」と思った事や「面白いな」と感じた体験をエッセイにすると、同じなろうユーザーの方々は意外と見てくれたりしますね。


 とまあ、こんな感じのエッセイがなろうではよく書かれていて、皆さん読んで楽しまれているようですな。

 まあやっぱり「小説家になろう」と言えば文章エンターテイメントサイトですからね!

 小説ではなくエッセイであっても読んで楽しい気分になったり、ほっこり癒されたりするような、夢いっぱいな文章がやはり好まれ……え?


 な、なんですかその目は。

「おめー日頃Twitterで言ってる事と随分違うじゃねえか。なろうエッセイの定番中のド定番なタイプについて何故語るのを避けるんだ? なろう小説紹介するのに異世界ファンタジーをあえて避けるような真似してんじゃねえぞ」ですか?


 い、いや、そのですな。

 アレはなろうの暗部というか、どう考えてもダークサイドなシロモノなので熊のキラキラ系陽キャリア充パリピエッセイで紹介するのは……







……







…………







………………







 わかった!

 わかりましたよ!

 語ればいいんだろ語れば!


 いいよ畜生!

 そこまで言うなら語ってやらあ!


 おら!

 エッセイ書いて、なろうでランキングに載りたいロクデナシ野郎ども!

 目ぇひん剥いてよく見やがれ!

 これがなろうエッセイの定番だ!


・なろう系(闇属性)

 小説家になろうの気に食わない所やムカつく風潮、バカじゃねーのと思う所について、ヘイトの赴くままに罵倒するタイプのエッセイ。


 どれだけ書いても俺だけランキングに載らない!

 大して面白くもねえアイツの作品は月間総合ランキングに入ってすぐに書籍化されたってのに!


 何かがおかしい!

 こいつは不正に違いない!

 あの書籍化作家も、このランキング上位野郎も、みんなみんな複垢相互してやがるに違いないんだ!


 許せねえ!

 証拠とか特にないけど、今俺が感じているこの怒りだけは確かなものだ!

 書けども書けども、我が作品ランキングに載らず。ぢっとマイページを見る。


 何故天才作家のこの俺が、こんな目に遭わねばならないんだ!

 もっと読むべき作品があるだろうに、品のかけらもない異世界恋愛やら日本語の前衛芸術を極めた長文タイトル小説ばっかり読みやがって!

 そんなゴミみたいな作品ばっかり読まれるのに、どうして俺の本格チーレムナーロッパざまぁファンタジーは誰も読まねえんだ!


 こっちはヒロイン50人用意して、人気の出なかった奴から惨たらしくぶっ殺す、そんな蠱毒方式で魅力あるヒロインを煮詰めて作っていったり色々と工夫してんのによぉ!

 なんで回を追う事にどんどんPV下がるんだよ!


 ここまでやっても読まれないのは、どう考えても汚い大人と書籍化作家が悪い!

 神聖なるなろうを不正で穢しやがって!


 くそったれ!

 この悲しみ、この怒り、この憎しみ、呪詛エッセイへと変えてなろうに叩きつけてやるッッ!



 こんな感じで、特に根拠のない逆恨みを書き殴るタイプのエッセイです。

「そんな汚物を煮詰めてタール足したようなエッセイ、読まれるわけねーじゃん」とお思いのアナタ!


 クックック!

 これが面白いほど読まれるのですよ。


 小説家になろうは超格差社会。

 基本的に書いた小説の大半は総合ランキングに載る事も無ければ書籍化もされません。

 ちなみにこれを書いてる熊も書籍化されてません。

 ファッキン!


 とまぁ、思う通りに行かない事へのいら立ちを、表に出さずとも抱えてらっしゃる書き手さんは意外と多いわけです。

 何の根拠も証拠も無い陰謀論やなろうヘイトは、そういった傷を抱える物書きたちの心の隙間を埋めてくれるわけです。


 そりゃあ読まれますって!

 とにかく自分以外の何かに責任転嫁して悪魔認定して叩きまくるのは、スカっとしますからね!

 もちろんあまりにもガバい雑な論理でなろうをディスろうものなら、正常な判断能力を持つ読者さん達から感想欄で袋叩きにされるでしょう!

 ですが、そんなの気にする必要ありません!


 この呪詛エッセイのターゲットは正常な判断能力を失った人々なのですから!

 やるせない怒りや憎しみを、全肯定して作者自ら率先して狂い、暴れ、その様を見せつけてやる事こそ、限界物書きの熊みたいな連中の癒しとなるのです!


 我らの荒み切ったゴビ砂漠の如き心には、優しい労りの言葉や正論では癒されません。

 憎しみと怒りの炎に身を焦がし、それによりもたらされる痛みによって、報われない創作活動で日々生じる苦悶を紛らわすより他に救われる術は無いのです!


 だからこそ、共に狂ってくれる、苦しんでくれる贄が欲しいのです!

 高めあうライバルなどいらない!

 認め合う友などいらない!

 ただ、一緒に堕ちてくれる連れ合いが欲しいのです!


 そんな救いを自ら断ってしまった悲しき限界物書きたちには、なろうのヘイトエッセイが実に心に沁みるのです!


 美しい言葉だけが読者の胸を打つとは限りません!

 憎しみと怒りに汚れた怨嗟の嘆きもまた、読む者の胸を打つのです!


 さあ!

 書いてて嫌だったこと、読んでてムカついたこと、心の底から湧き上がる黒い炎を糧として、己が負の感情の全てをエッセイにして叩きつけてやりましょう!

 そして度を越えた誹謗中傷によりなろう運営から警告のメールが届いた時、あなたの書いたエッセイはランキングに燦然と輝くのです!



おいでませ、なろうエッセイ!……END

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熊エッセイ2022 熊ノ翁 @kumasannda

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