●SIDE美月
わたしの名前は美月。
25歳で、ファッションデザイナーをやっています。
旅行とダンスが趣味で、ちょっぴり失敗からの借金を背負っていますが、それはまた別のお話。
とにかくわたしはクリエイティブなことが好きで、いつも自由に生きたいと思っています。
でも、今、わたしの心はずっと自由じゃありません。
なぜなら、わたしは恋をしてしまったから。
その人は祐介さん、わたしたちのプロジェクトで衣装を提供したことがある、とてもやさしい人です。でも、彼は男の人、渉さんと……。
さて、今はこんなこと考えてる場合じゃないですよね。地震でエレベーターに閉じ込められてまして、照明がほんのりとわたしたちの不安な顔を照らしています。
祐介さんが言いました。
「みんな、まずは深呼吸しよう。大丈夫、すぐに救援が来るはずだから」
彼はいつも気がきくんだ……。
わたしは心の中でつぶやきました。
「祐介さんがいればなんとかなる……かも」
エレベーターがまた揺れ始め、わたしは自然と祐介さんの方を見てしまう。
不思議です。
こんな時でも、彼の声はわたしを落ち着かせるんです。
渉さんが冗談を言ってきました。
「大丈夫ですよ、美月さん。君が教えてくれたダンス、ここでも役に立つかもしれないし」
はは、それも一つの方法かもしれませんね。
祐介さんが、さらに皆を鎮め、
「リーダーとして、僕が落ち着いていないといけないね。渉、ガジェットは苦手だけど...エレベーター操作くらいならどうにかなるんじゃないかな?」
と言うと、なんだかホッとしました。
渉さんには内緒ですが、わたしは彼にとても感謝しています。
雅さんがファッションの話を持ち出された時、わたしは自分の苦しい過去、あの失敗と借金を思い出しつつ、「ああ、返済しなきゃいけないものもあるし……ええ、そうですね、話しましょう」と返事しました。
エレベーターがさらに激しく揺れ、アラート音が鳴り始めた時、わたしは慌てずにいられなかった。
でも渉さんと祐介さんがいてくれたおかげで、なんとか落ち着けました。
わたしは恋する人、伝えたい人のために、強くありたいと願いました。
そしてやがて、アラート音が止み、祐介さんが提案してくれました。
「さて、これからのことを考えるための良い機会かもしれないね。恋心、秘密……聞きたいことがあるだろう?」わたしは、これがチャンスかもしれないと感じました。
秘密の交換ゲームの提案が出た時、わたしは少し照れつつ、
「あら、それじゃあ、私の失敗話から始めます?」
って提案してみました。
内心では、祐介さんにもっとわたしのことを知って欲しい。
でも、もしかして彼にとってわたしはそもそも恋愛の対象では……。
そう思い悩む間もなく、救助隊の声がわたしたちに届きました。
そして、みんなで安堵の声を上げ、「助けていただき、ありがとうございます!」と感謝を伝えました。
エレベーターが開いた時、わたしは祐介さんに感謝の気持ちを伝えたかった。でも、言葉にはできず……。
未だに隠れた感情と秘密を抱えたまま、みんなと共に新しい未来への一歩を踏み出したのでした。
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