第15話 断罪された彼らのその後と、私たちのその後の未来は、幸せ一杯で!
ノシュ・ファボレ伯爵令息は廃嫡され、庶民に落とされたそうだ。
続けてボール・カマン伯爵令息は規律の厳しい修道院に入れられ、二度と外には出て来ることは出来ないらしい。
そしてゼドール・グレンダイザーは去勢手術の上に北の塔に幽閉されたのだと言う。
何故そこまで厳しい処遇になったのかというと、「婚約者に〇〇を贈りたくて」と親から貰っていた金が全てリリーに渡り、婚約者に何も送る事が無かった事も理由の一つなのだとか。
厳しく罰する事で、元婚約者の家からも文句が出ないようにしたのだろうと、ローザンヌは言っていた。
また、今回の事件と言うのだろうか、発端となったリリーは男爵家を返納させられ庶民に落ち、暫く世間を騒がせたが突如行方不明になったのだと言う。
それから一か月後――山間の谷で死んでいるのが見つかり、罰が当たったのだと皆が騒いでいたが、恐らく暗殺されたのだろうと思う。
それはローザンヌも同じ意見で、誰が殺したのかは――言うまでもないだろう。
冬期休暇が終われば、女性たちは嫁ぎ先での花嫁修業が始まる。
ローザンヌも例にもれず我が家でその肉体美を生かし、新たなドレス――パンツスタイルを確立させていくらしい。
あのリリー断罪でのローザンヌの姿は今も語り継がれており、余りの神々しさ、雄々しい姿に男女問わずファンが出来たそうだ。
流石は私のローザンヌ!! そこに痺れる! 憧れる!!
「でも不思議だよねぇ。アレだけ筋肉ダルマとか散々姉の事を言っておきながら、掌変えて媚びうってくる奴等なに?」
「俺もローザンヌに一目会わせて欲しいって殺到してるよ」
「放置してればいいんじゃない? 今更彼女の良さに気づいても致し方ないていうかさぁ?」
「つまり、ライカは見る目があったって事だよ」
「えへへ」
「「可愛いなぁ」」
こうして学園に通いながら休みの日はタウンハウスに戻りローザンヌと愛を深めて行った私は学園を卒業と共に結婚し、ローザンヌに襲われ、子宝にも恵まれた。
ローザンヌはこの国に【ヅカのような衣装を提供したい】と言って、男役、女役の衣装を考案し、パンツスタイルはローザンヌが筆頭に広告した事もあり、一部の背の高い女性たちに絶大なる人気を誇る事になる。
何より、背の高い女性は貴族の間では余り良い顔をされなかったものの、背の高くアスリートの様なしっかりした身体を持つローザンヌに憧れ、身体を鍛える女性も急増。
ローザンヌはそんな彼女たちに質のいい筋肉のつけ方を教え、自分が如何に夫とラブラブであるかも語った。
お陰で背が低い私は貴族男性にとってはマイナスである背丈の低さは、「夫の最も可愛い所の一つである」とローザンヌに言って貰えた為、クスクス笑われることも無く夫婦仲良く学生時代以上にラブラブしている。
無論、たまにドレスを着させられるけれど……それはそれでいいのかなと思ってる。
ローザンヌに喜んでもらえるなら、それが一番だと思っているしね!
「ローザンヌは子供を産んでからも筋肉を育てて凄いね」
「身体を鍛えるのが趣味みたいなものだからな。それに出産してからシックスパックは難しい」
「だろうね!」
「だが、君によく似た娘と俺によく似た息子に恵まれた事は僥倖だ。まあ、兄の方は幾分シスコン気味だが」
「あ――確かにそうかも」
「まぁ、兄妹仲良くしてるならそれに越した事は無い。流石に三人目は難しいが……襲う事は出来る」
「ひぇ……お手柔らかにお願いしますっ」
「本当に君は愛いなぁ」
そんなローザンヌから受ける愛に、私はドンドン可愛くなる一方で。
一部の貴族男子からはとても人気がある事を未だに知らない。
知らない故に、ローザンヌはパーティーに出るとこれ見よがしに愛を囁き私をエスコートする。
「そう言えば、あの日のダンスパーティーで何度でも踊っていいって言ってたよね?」
「ああ、踊るか?」
「無論! エスコートして差し上げます!」
「ははは! エスコートされる、の間違い……だろう?」
「もう」
「ふふ、俺の可愛い旦那様、一緒に踊ろうか」
「是非!」
婚約時代は2回までしか踊れなかったダンスも、今では何度でも踊る事が出来る。
誰かと踊る事はローザンヌが拒否する為無かったけれど、一生素敵で格好いいローザンヌだけを知っていればいい。
今日もパンツスタイルでヅカの男役の様な恰好がまた素敵すぎる!!
「もう何度ローザンヌに惚れ直しただろう? これからもいっぱい惚れ直したい!」
「ははは!! 幾らでも惚れ直すがいい!!」
幸せ一杯の中、私たちの人生は続く。
きっとこれからも、ずっと――。
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