死なない彼女の流転する生活に、一つまみの現実離れを

死ぬことも年もとる事もない「わたし」は、故郷から遠く離れて、日本の地方都市で美術教師をしている。ある日、一人の美術部員の女生徒との会話から、彼女は自身の過去を思い出す。
不死者の女性の人生を切々と描いた現代ファンタジー。普通の人では抱えきれないほどの出会いと別れを繰り返してきた彼女の目線に、感傷的な気持ちになります。
今までもこれからも、彼女は不死者だとかくして嘘をつきながら、生きていくのでしょう。それでも、誰かとの触れ合いはいつまでも残るのだと、信じたくなる一編でした。