幼馴染は俺の嫁

御剣ひかる

お嫁さんって、そういう意味

 数軒お隣の、かなちゃん。

 小さいころはとっても仲が良かった。

 毎日でも一緒に公園で遊んで、お互いの家にも遊びにいったりしてた。


「わたし、おおきくなったら、そうちゃんのおよめさんになる」

「うん!」


 あの時は、結婚とかお嫁さんとか、深い意味を知らずに、ただ仲がいいからってそういう約束をしたよな。


 けれどだんだん成長していって、ただ仲がいいからってだけでカノジョとかになったりしない。


「そうちゃん、その人と付き合ってるってほんと?」

「あぁ、うん」


 高校の時にカノジョができて、かなちゃんに紹介、というか、バレたから肯定した、みたいになった。


「そっか。いい人そうでよかったじゃん」


 笑顔のかなちゃん。

 だけど、目が笑ってなかった。

 申し訳ないけどちょっと怖いって感じた。


 でもさらに年を重ねて、彼女と結婚して、息子が産まれて、となってもかなちゃんはお祝いしてくれて、あの時感じた怖さって錯覚だったんだなってほっと安心した。




 さらに時が流れて――。


 俺の転勤で引っ越して、かなちゃんとは会わなくなり、息子も成長して社会人になった。

 時々年賀状が届いて、元気そうにしているのは知ってたけど……。


「父さん、結婚したい人がいるんだ」


 息子が連れてきたのが……。


「久しぶりだね、そうちゃん。約束どおり、あなたのお嫁さんになるよ」


 にっこりと、あの時の笑いを浮かべた、かなちゃんだった。



(了)

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幼馴染は俺の嫁 御剣ひかる @miturugihikaru

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