第4話 運命

「……閃ちゃん、おはよう」


「……」


ガタッ!


「あ……」


閃ちゃんは、あれから、1週間、1度も口をきいてくれない。それだけの事を、私は言ってしまったんだ、と私は私を責めた。……つもりだったけど、考えれば考えるほど、責めているのは、閃ちゃんの方なんじゃないかって思えて来たんだ。









―休み時間―

ピコーンッ!


「先輩からLINE……『明日、出かけない?』か……」


「……行かない方が良いい。行ったら喧嘩するよ」


「! 閃ちゃん!?」


いつの間にか、閃ちゃんが私の後ろに立っていた。


「閃ちゃん……占ってくれたの?」


「……ゴメン。1週間も無視して……。でも、私と充希はやっぱり友達でいる運命なんだよ。充希と一緒にいないと……充希と一緒にいない私じゃ、私じゃなくて……だから……」


「閃ちゃんが謝ることない!! 絶対的に私が悪いんだから!! 閃ちゃんが……どんな想いで占ってくれてたか……知りも……しないで……」


私は、思わず涙が出た。


「私、の充希の恋愛運を占った時、必ず当たる事は分かってた。でも、次の日、それが蓼科先輩だって分かった時、正直ショックだったの。でも、それは運命。仕方のない事。なのに、あんな風に当たるみたいな態度取って……、本当にゴメン」


「閃ちゃん……私、こんなに優しくて、温かくて、思いやりの塊みたいな人にずっと無理矢理占いさせてたんだね……。自分の気持ち、押し殺させてまで……。そんなことまでして手に入る幸せなんてないよ」


「……それは違う……。それは、違うんだよ。運命はね、やっぱりある程度決まっていて、その中で幾つかに枝分かれする事もあるけど、決して変えられないものも確かにあるの。それは、人と人との繋がり。運命を間違えて、人は別れや離婚をする。運命の人だけは、変える事は出来ないの。でも、必ずしも出会えるとは限らない。だから、出逢えたら、離せないし、離しちゃいけないんだよ。……それと同じように、無理矢理引き離す事も……出来ないの……。私が、押し殺そうが殺すまいが、出逢った2人を、引き離す事は、もう出来ないの……。それを分かってるのに……どうして充希を責めたんだろう……」


閃ちゃんが泣いている。私のせい……為に、泣いてくれている。蓼科先輩が私の運命の人だったって知って、どんなにショックだったか……私には計り知れない。それなのに、私を責めた事を後悔して泣いている。


私は思った。この人を、これ以上悲しませてはならない。これ以上、裏切ってはならない、と。


私に、出来る事は……しなければならない事は……なんだろう?


「閃ちゃん……私、明日、出かけて来るよ……」


「え……でも……」


「閃ちゃんが言ってくれたんだよ? 占いで成長する機会を奪っちゃっダメだって。私は、先輩と喧嘩して、そして仲直りして見せる。何度喧嘩しても、何度でも、何度だって仲直りして絶対結ばれて見せる!!!」


「……………………ふっ。いつもいつも……充希には負けるよ……。本当にどんな答えが返ってくるのか……なーんも分からなかったから!」


「…………あ、の」


「でも!」


「!?」


「これからも、充希の事、占わせてよね! これは、私の……私の運命なんだから!」


「閃ちゃん……。うん! ありがとう!!」









これは、この物語は、姫野閃と言うもの凄く素晴らしい占い師と、那珂町充希と言う占いが大好きなだけでごく普通の女の子の、運命の出会いの物語おはなし――……。




―END―

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運命の物語(おはなし) @m-amiya

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