見ているもの-side要

成り立ち

 あおが生まれた時のことを、覚えている。俺らの中で唯一兄弟ができたそらを、羨ましく思った記憶もある。自分に弟や妹が欲しかったわけではないが、子供の頃はそれだけで特別な感じがしたものだ。 


 蒼は綺麗な目をしていた。その目にはどう見えているんだ?といつも疑問だった。俺らがサッカーやゲームで遊んだり、バンドの練習をしたりしている時も、よく俺らを眺めているだけの時間があった。ガキの頃は心配したが、蒼なりに楽しんでいたんだと、後になってわかった。


 俺は、気がついたら蒼のことを特別多く目で追っていた。空も黄雅こうがも家族同然に過ごしてきた、もちろん蒼もそうだ。そのはずなのに、蒼にはこの景色がどう見えているのか、どう感じるのかをいつからかすごく気にするようになっていた。蒼は優しい奴だから、質問したら丁寧に答えてくれる。その反応も嬉しかった。それが特別な感情であることは、少しずつ自覚していた。そうとは一言も明言していないが、俺らは恋人になったようだ。


 俺らの性質はそこまで遠いものではない、と思っている。それでも、蒼の幾つになっても真っ直ぐで綺麗な瞳だけは、確実に俺にはないものだった。

 だからきっと、側にいてやりたいと、守りたいと思っていたのだと思う。

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はじまり/D.Green 青海空羽 @aomiku

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