あとがきめいた何か―喪失感―

 友人が帰った後の帰り道。

 それは妙に切ないモノだった。

 今までの9日間は駅からの帰り道に友人が居たのに。

 私の傍らは空いており。ポッカリと空いてしまった空間には空気があるだけ。

 そう思うと福岡の街が寂しいモノに思える。

 

 その切ない帰り道を歩ききってしまうと。

 私の家に着いた訳だが。

 そこには二人分の夕食の跡があり。二人分の燃えるゴミが溜まっており。冷蔵庫には二人分の酒が入っており。部屋の床にはコッドとウレタンシートと寝袋があり。

 確かに友人はそこに居たのだな、と思わせる。

 私は新幹線の見送りでは友人が帰る事を実感しなかったが。

 ああ。家に帰ると友人が居なくなってしまった事を思い知らされる。

 

 一人きりの部屋は広くて。ベットに寝転がっても隣に人の気配はない。

 私は寂しさを噛み締めながら、眠った。

 

 そして今朝。妙に早くに眼が覚めて。

 この文章を書き綴っている。

 この9日間を忘れない為に。

 

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『プー太郎2人、福岡を行く』 小田舵木 @odakajiki

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