第六話 衝撃のラスト

 だが、この私「立花 優」も、ただ、ボケッとしていたのでは無い。



 ここまでの間に、いくつかのある情報を既に手に入れていたのだ。実に、どうでもいいような情報ばかりなのだが、皆、気に懸かるのだ。



 さて、母の介護に忙しいこの私のスマホに、石川県警からの電話があった。この石川県警には、任意調査でみっちり絞られた記憶があった。



 石川県警本部の電話番号は登録しておいたのだが、ここで、その登録番号が役に立った。そうでなければ、即、電話を切っていたであろう。



「もしもし、立花さんですか?」



 果て、どこかで聞いた事のある声だ。



「お忘れですか?捜査一課長の佐々木です」



「捜査一課長が、この私に、一体、何の用です?この私を、無理矢理、真犯人の協力者に仕立てようとした方では、無いのですか?」



「あの時は、失礼しました。しかし、今回の場合、「ラブホ頭部切断殺人事件」の真犯人や、その協力者が今でも全く分かりません。



 で、ここで、この「ラブホ頭部切断殺人事件」が、一向に進展しないので、とうとう、県警本部長からも大声で怒られる始末です。



 で、この「ラブホ頭部切断殺人事件」について、独自の小説を書かれた、立花さんの御意見を聞いて見たくなったのです。この事件は、このまま「迷宮入り」となってしまうのでしょうか?」



「間違い無く「迷宮入り」ですよ」



「イヤにハッキリと断言されますが、その根拠は?」



「この事件の「筋書き」を書いたのは、捜査一課長の佐々木さん、貴方なのです。これが、この事件の本当の真実なのでは無いのですか?」



「な、な、何を言われる」と、捜査一課長の声が上ずる。



「貴方は、4年前に奥さんをガンで亡くされています。で、精力のありあまった貴方は、マッチングアプリで、あの北川恭子と偶然知り合った。

 しかも、北川恭子は、貴方が、警察関係者だと知ってしまった。

 で、北川恭子は、憎きあのビックリモーターの元店長、ガイシャの殺害の協力を願い出たのでは。

 と、私は、推理しました。



 佐々木課長は、旧帝大出の秀才です。

 しかし、数年前、急に超難関と言われる気象予報士の資格も取っておられます。警察と、気象予報士の資格は、この場合、少し場違いなのでは?



 とすれば、事件の翌朝、ゲリラ豪雨が起きる事も、各種防犯カメラの位置も全て理解して、この猟奇事件の「筋書き」を書いていたのです」



「し、しかし、私には、その日、警察署に別の事件で夜中に署に顔を出していたのだ」



「それは、極、簡単な事です。私の愚作『人の生首の事件』の最初の書き出し部分のように、下っ端の警官がこの事件に絡んでいるのです。

 言ったでしょう。貴方が、全ての「筋書き」を書いた、本物の「悪魔」だったのです」



「だが、何処にも、証拠が無い」



「イエ、この音声は、全て自動録画されています。

 この音声データーを、今から、週間B誌に転送します。止めに来ても、もう後の祭りですよ。

 分かりましたか「悪魔」さん……



 それと、もう一つ、気になる事も知っています。



 貴方の旧帝大の刑法ゼミの同級生が、20数年前、

「俺は、悪魔を見た」と書き置きして、その後、失踪している事件です。

 この事件も、今でも、謎のママ、迷宮入りのママです。



 佐々木課長様……いや、別名「悪魔」さんよ!!!」


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短編:悪魔が来たりて首を切る!!! 立花 優 @ivchan1202

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