冬の海辺
川辺 せい
冬の海辺
さざなみに洗われ転がるまるい石 蹴飛ばし届くか遠く灯台
波打ち際、走り去る大型犬 しっぽの影がゆらゆら揺れる
髪をさわる 風が吹いては何度もさわる 意味はなくとも必要だった
地平線、コートの裾がなびいて消える 小舟の青、灯台の白
つよく吹く潮風に目がしみる 滲んだ目尻はそのままでいい
焦がれていた、ファインダー越し橙の陽 輪郭ぼやけて夢うつつ日和
さよならと言わないままで手を振った 絡まる髪に潮の残り香
冬空に滲む月光 針の色 わたしの真ん中ちくりと痛い
冬の海辺 川辺 せい @kawabe-sei
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