とけない雪だるま(男性版)

「とけない雪だるま(男性版)」


【登場人物】

祐輔:クリスマスケーキを売るバイトの後輩

柊:クリスマスケーキを売るバイトの先輩


約15分のほのぼのクリスマスの話


【男女版】

https://kakuyomu.jp/works/16817330668893567077/episodes/16817330668893591178


【女性版】

https://kakuyomu.jp/works/16817330668893567077/episodes/16817330668895635986


【利用規約っぽいやつ】

★配信や裏劇で使用ー️⭕️

★語尾や名前、言い回しの変更ー️⭕️

★アドリブー基本は️⭕️

★男役を女性が演じるー️⭕️

★楽しんでいただけるなら基本は自由ですが著作権は放棄してません

★もし、ボイスドラマやお金が発生するものを制作する場合は

@ttkrr_nana424にご連絡ください

★配信で使用する際に報告は不要です


―ここから本編―


祐輔:「クリスマスケーキ販売中です~。いかがですか~」


祐輔:(N)これは赤、白、緑で賑やかな街の中、へたくそな笑顔を浮かべる俺と


柊:「ありがとうございます。メリークリスマス!」


祐輔:(N)100%の笑顔をケーキに添えている彼との物語


~タイトルコール~

柊:『とけない雪だるま』


~間~


柊:「お疲れ様」


祐輔:「お疲れ様です。今日結構売れましたね。・・・やっとサンタ服脱げる」


柊:「お前すぐ脱ぐよな」


祐輔:「そりゃあ恥ずかしいですから。柊さんは恥ずかしくないんですか」


柊:「ないよ。だってこの格好するとクリスマスって感じじゃん?最高だろ!」


祐輔:(N)そう言ってさっきケーキに添えていたのと同じ笑顔を俺に向ける。年は彼の方が上のはずなのに、笑うと幼く見えた


~帰り道~

柊:「それにしてもあっという間に今年も終わるな~。ついこの前まで暑かったのにもう雪が降ってる」


祐輔:「ほんとあっという間ですよね。もう数日で今年が終わるなんて実感ないですよ」


柊:「わかる~。まだ数か月あるって信じてるもん、俺」


祐輔:「それは言いすぎじゃないですか」


柊:「え~そうか?」


祐輔:「だって明日何の日か知ってます?」


柊:「バイト」


祐輔:「それは俺もなんですけどそうじゃなくて!クリスマスですよクリスマス」


柊:「あぁ!クリスマスか!てことは今日クリスマスイヴ?だからケーキたくさん売れたんだ!」


祐輔:「そうですよ。さっきサンタ服着るとクリスマスって感じするって言ってたじゃないですか」


柊:「いやほら、今月ずっとサンタ服じゃん。だからわからなくなるんだって」


祐輔:「あーなるほど」


柊:「俺はてっきりみんな祐輔のぎこちない笑顔につられてかと思ってた」


祐輔:「絶対それはないです」


柊:「そうかぁ?俺隣で可愛いなって思いながら見てるよ?」


祐輔:「男に言うセリフじゃないですよね。それ」


柊:「ん?別によくね?」


祐輔:「よくないですよ。それはもっと可愛いって言葉が似合う人に」


柊:「祐輔可愛いだろ」


祐輔:「可愛くないですが?」


柊:「可愛いぞ~」


祐輔:「可愛くないです!」


柊:「そういうとこが~!可愛いっつってんの!」


祐輔:「あーーーもう!!終わり!!この話終わり!!」


柊:「えーなんでだよー」


祐輔:「(被せて)柊さんは!明日何か予定とかあるんですか!」


柊:「予定?さっきも言ったけどバイトだよ」


祐輔:「そうじゃなくて!バイト終わったら友達とパーティーするみたいなのないんですか。柊さんそういうの好きそうだし」


柊:「うーん・・・特にないな。強いて言うなら雪だるま作るかな」


祐輔:「え?雪だるま?」


柊:「そう!雪だるま!」


祐輔:「なんで?」


柊:「作りたくなったから」


祐輔:「はぁ。そういう子供っぽいとこ可(愛いですね)」


柊:「(話を聞かずしゃがみ込む)あっ!」


祐輔:「もう、急にしゃがみ込んでどうしたんですか」


柊:「・・・(夢中になって何かを作る)」


祐輔:「柊さん?」


柊:「(突然立ち上がり)できた!」


祐輔:「うおっ!?」


柊:「祐輔風、雪だるま!」


祐輔:「突然目の前に突き出さないでくださいよ。殴られるかと思いました」


柊:「あはは、ごめん。でも見てよ!似てるでしょ!」


祐輔:「似てるって・・・どこが?」


柊:「ほら!このメガネが祐輔そっくりだろ!」


祐輔:「メガネってその曲がった枝ですか」


柊:「そう!ほらほら!横に並べると・・・おぉ~そっくり!」


祐輔:「そうですかね・・・」


柊:「よぉし、この雪だるまを祐輔2号と名付けよう!」


祐輔:「名付けてどうする気ですか」


柊:「持って帰る!」


祐輔:「えっ」


柊:「え?ダメ?」


祐輔:「ダメじゃないですけど、とけますよ」


柊:「あっ、確かに。じゃあここに置いておこう。(地面に祐輔2号を置く)

じゃあな、祐輔2号。明日もここにいろよ!ほら、祐輔もばいばいしろ」


祐輔:「えぇ・・・」


柊:「早く早く」


祐輔:「じゃ、じゃあね、俺2号」


柊:「俺2号じゃなくて祐輔2号だよ」


祐輔:「いいじゃないですか。自分で言うの恥ずかしいですって」


柊:「だーめ!ちゃんと祐輔2号って言え!ほら!」


祐輔:「・・・祐輔2号、また明日」


柊:「(声を変えて)じゃあね、おっきい祐輔1号!ばいばい!」


祐輔:「ばいばい。これで満足ですか」


柊:「おう!満足!」


祐輔:「これでもう雪だるま作らなくていいですね」


柊:「明日は明日で作るし」


祐輔:「なんでですか?」


柊:「作りたいから!」


祐輔:「柊さんって子供みたいですよね。雪だるまでこんだけはしゃげるの柊さんくらいですよ」


柊:「はぁ?!雪だるまテンション上がるだろ」


祐輔:「そういうとこですって」


柊:「もしかしてバカにされてる?」


祐輔:「してないです。無邪気なのが先輩感なくて話しやすいなって思ってます」


柊:「ほんと?」


祐輔:「ほんとですよ」


柊:「そっか~嬉しいな。俺も祐輔と話してると楽しいよ!」


祐輔:「・・・ありがとうございます」


柊:「お?照れてる?」


祐輔:「て、照れてないです」


柊:「ほんとか~?俺には照れてるように見えるけど~?祐輔くぅん?」


祐輔:「うるさいです!(逃げるように早歩きになる)」


柊:「あっちょっと待てよ!」


祐輔:「待ちません」


柊:「おいてくなよ~!」


祐輔:(N)いつもは寒くて、人が多くて、無駄に賑やかなこの時期が嫌いだった。でもこの人と一緒に帰るのは心地よくて、寒さなんて忘れてしまえるほどだった


それも明日で終わってしまう。なんだか寂しかった


~間~


~柊の部屋~

柊:「もしもし。お疲れさまです。・・・明日ですか?午後から駅前店だけの予定ですけど・・・。午前中ですか?・・・あ、もしかして人足りないんですか?あぁ、やっぱり。クリスマスですもんね。

・・・いいですよ。場所は・・・倉舞町(くらまいちょう)ですね。わかりました。・・・いえいえ!どうせ何も予定なかったので大丈夫ですよ!・・・はい、明日よろしくお願いします(電話を切る)


クリスマスは一日中バイトかぁ。・・・よぉしたくさんケーキ売るぞ~!」


~次の日の朝~

柊:「ふぁ~寒い。さすがに朝は人いないや。おっ、祐輔2号だ!おはよう!何とか生き残ったんだな偉いぞぉ。・・・あっそうだ」


~街中~

祐輔:「はぁ・・・もう帰っていい?というか帰らせて・・・」


祐輔:(N)友達に呼び出されて早3時間。なぜか俺は荷物持ちをさせられている。バイトまで家で過ごす予定だったのに、昼を奢ってもらうという誘惑に勝てなかった自分をブン殴りたい


祐輔:「ったく、どこもかしこもクリスマスで幸せムードになりやがって・・・。明日から正月ムードになるのによぉ・・・ってこれからサンタの格好する俺が言うことじゃないか。

荷物重すぎ一旦休憩したい・・・ん、この雪だるまの置き物。・・・そうだ」


~隣町のケーキ屋~

柊:「数少なくなってきたんで、クリスマスケーキ追加した方がいいかもです。・・・はい、お願いします!

あっそうだ、佐々木さん!夕方には駅前の方に戻りたいんですけど・・・え?」


~駅前のケーキ屋~

祐輔:「おかしいな。いつもならこの時間にはいるのに・・・。あの、工藤さん今日柊さんって俺と同じ時間ですよね。・・・え?別の場所に手伝いに行ってるから今日は来ない?そんな・・・。あのっ!場所ってわかりますか!!」


祐輔:(N)柊さんと会えないとわかった途端、体が動き出していた。バイトの時間までには戻ると伝え、サンタ服のまま走り出した

柊さんに会いたくて、あの笑顔が見たくて。幸せで溢れている人混みを掻き分けて、寒さなんて気にならないくらい夢中で走った。何もせずこのままで終わるなんて嫌だった


~隣町のケーキ屋~

柊:「ケーキ2個ですね、どうぞ。ありがとうございます。メリークリスマス!

いらっしゃいませ~!ケーキ1個ですね。・・・え?サンタ服似合ってる?はは、ありがとうございます。このケーキ美味しいんで今日中に食べてくださいね。メリークリスマス!


・・・佐々木さんお疲れ様です。ちょっと落ち着いてきましたね。・・・じゃあお言葉に甘えて休憩入ります」


~休憩室に入る柊~


柊:「はぁ、一日中ここで働くなんて聞いてないっつーの。俺駅前店でバイトあるって言ったのになぁ。とりあえず祐輔に連絡・・・あれ、連絡先知らなかったっけ。

そっか・・・昨日で最後か。祐輔と一緒に帰れると思ったのになぁ。一緒に雪だるま見たかったなぁ。


・・・おっ佐々木さんどうしましたか?・・・えっ?俺に会いたい人がいる?誰だろ」


~外に出ると祐輔が立っている~


柊:「祐輔!?」


祐輔:「(息を切らしつつ)はぁっはぁっ柊さん、こんばんはっ」


柊:「こんばんは。ってどうした?ここ隣町だぞ?」


祐輔:「柊さんがここにいるって聞いて来ました。どうしても渡したいものがあって」


柊:「渡したいもの?というかその恰好」


祐輔:「え?あぁっ!サンタのままじゃん俺!」


柊:「あははっあわてんぼうのサンタクロースだ」


祐輔:「この格好のまま走ってたとかうわはっず・・・」


柊:「てっきりこっちの手伝いに来たのかと思った」


祐輔:「違いますよ。ただでさえ柊さんいなくなってギリギリになったんですから正直戻りたくないですよ。絶対忙しくなりますもん」


柊:「だよねぇ。俺もそっちに戻るつもりだったのにここで一日中って言われてびっくりだよ」


祐輔:「クリスマスはサンタが一番忙しい日ですから」


柊:「そうだな」


祐輔:「あっ、柊さんにこれ渡したくて来たんです(小さな箱を渡す)」


柊:「え~なになに。開けていい?」


祐輔:「いいですよ」


柊:「・・・わぁ、雪だるまの置き物じゃん!可愛い!」


祐輔:「柊さん2号です。昨日俺の分・・・祐輔2号を作ってもらったからそのお礼です。それならとけないかなって思いまして」


柊:「ありがと!でもこれは柊3号だな」


祐輔:「え?」


柊:「本当は今日一緒に帰りながら見ようと思ったんだけど・・・ほら(スマホの写真を見せる)」


祐輔:「ん?祐輔2号と隣の雪だるまは・・・」


柊:「柊2号だよ!」


祐輔:(N)柊さんが見せてくれた写真には昨日より少し形の崩れた祐輔2号と、綺麗な丸が重なった柊さん2号が並んでいた


柊:「可愛いだろ。来るときに作っちゃった」


祐輔:「可愛いですね」


柊:「だから、この置き物は柊3号なの。でも、そしたら祐輔3号が必要だな」


祐輔:「俺のは別にいいですよ」


柊:「なぁ、これどこで買ったの」


祐輔:「えっと街のクリスマス市みたいなところです」


柊:「買いに行こ」


祐輔:「は?」


柊:「祐輔3号も買いに行こ!」


祐輔:「でもっさすがにバイト終わってからだと厳しくないですか」


柊:「んーじゃあ今から行こう」


祐輔:「今から!?え、でも柊さん仕事があるんじゃ」


柊:「今休憩時間だし、俺いなくてもなんとかなるから大丈夫。それに元々こっちで働く予定じゃなかったし」


祐輔:「で、でも」


柊:「そっちこそ駅前に戻らないとだろ?効率良いじゃん?」


祐輔:「ということはお互いこの姿のまま買い物行くんですか」


柊:「おう、そうなるな」


祐輔:「えぇ・・・。もう、この際いいです。行くなら行きましょう」


柊:「よし!・・・あっ、雪」


祐輔:「本当だ」


柊:「雪が降る中、サンタ姿の俺たちかぁ。なんか真っ白なケーキの上の苺みたいじゃね!えへへ」


祐輔:「(柊の笑顔に見とれる)・・・ふふ、そうですね」


柊:「あっ、今の笑顔いい!」


祐輔:「え?」


柊:「いつものぎこちない笑顔じゃなかった!」


祐輔:「あ・・・。あはは、柊さんの笑顔が素敵だからつられたんですよ」


柊:「そうなの?もっと笑えよ~」


祐輔:「柊さんといれば自然と笑える気がします」


柊:「ほう~?じゃあいっぱい笑わなきゃな」


祐輔:「はい。・・・柊さん」


柊:「ん?」


祐輔:「メリークリスマス」


柊:「メリークリスマス!」



~終わり~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とけない雪だるま 菜乃花 月 @nanohana18

作家にギフトを贈る

カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。

ギフトを贈って最初のサポーターになりませんか?

ギフトを贈ると限定コンテンツを閲覧できます。作家の創作活動を支援しましょう。

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ