絵の代わりに手に入れたもの

江戸川乱歩の『押し絵と旅する男』は絵の中の少女に恋した男の悲劇(?)を描いている。
伯爵家の嫡男バートンもある絵の中の少女に惚れる。
彼女に会うためバートンはロンドンからはるばる日本までやってくる。
果たしてバートンと、ひそかに彼に恋する秘書アイラは絵の少女に会えるのか?

後味は『押し絵と旅する男』よりずっと爽やかだ。
でも一抹の切なさは残る。
絵の中の少女はどうなったのだろう?

異邦人の目を通して描かれる日本の風景も面白い。
シャーロック・ホームズが活躍した時代のロンドンが好きなかたにおすすめしたい、ロマンチックな佳品です。