第14話  予感は外す為にあるんだよ

「雫くんもだんだん板についてきたね」


「ありがとうございます!」・・


「ふふふ」



某所

「働かせてほしいと?」


「お願いします!」


「うん、いいよ」


僕は結局時間が自由になるという理由で、あの人に仕事の斡旋を依頼した。


「頼ってくれて嬉しいね!」


できればこんな危険なとこは嫌だったけど、背に腹は代えられない。


退院したら育児が始まる。

自由時間などほぼ無いに等しい。


トイレに行くにも着替えでもお風呂でも。お洗濯に料理や買い出し。


24時間フルで赤ちゃんとセットである。僕は彼女が自分の時間が持てるようにしたかった。



「やっぱり筋が良いね。この調子だと独り立ちもできそうだよ」


僕に任されたのはデザインの仕事。

今流行りのVTuberの皮を作るお仕事だ。 需要は確実にある。


「しかしよく頑張るね。それも彼女のためだと言うし。正直焼けてしまうな」


「僕もこんなお嫁さんが欲しいな」


「あげませんよ」


こうやって時々僕をからかっては微笑んでいる

全く根性が腐ってますね



ちかちゃんの元カノとのお仕事は想像以上に楽しかった。

彼女の指示も的確で、まるで何年も一緒に働いていたようだった。それくらい僕らはお互い信頼し合ってた。いや、お仕事だよ

第一印象が結婚式でのアレだったから、上がるだけだし。


「最近、あなた達距離近くない?」

「そうかな」

時々冗談半分本気半分でちかちゃんに言われた。


その時の彼女の様子があまりに寂しそうで。

ここで働き続けるのは失敗だった。

遅まきながらその時知った。


これ以上悪化する前に何とかしなくちゃ


僕はそう考えて、ちかちゃんにある提案をするのだった。



*


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

浮気した彼女が復縁を迫る中、後輩までやってきて修羅場なので逃げたいと思います。 水都suito5656 @suito5656

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ