第63話

 リビングに戻ってきた遥達は雛の様子に首を傾げつつキッチンに向かった。


「みーちゃん達もココア飲む?」

「貰うわ」

「わ、私もお、お願いします!」

「はーい」

「遥先輩、コップ出しておきますね」

「ありがと〜」


 遥は電気ケトルに水を入れスイッチを押す。その間に琴葉はいつものマグカップと三咲と雛用にカップを2つ用意する。

 お湯が沸くまでの間手持ち無沙汰になった遥は、琴葉をリビングから見えない位置に誘導する。


「琴葉ちゃん、ちゅー」

「んっ…遥先輩、ダメですって」

「ぶー。じゃあギューってしよ?」

「それなら…」

「ぎゅー」


 軽くイチャイチャしていればお湯が沸き、人数分のココアを用意してリビングに運びいつもの場所に座る二人。


「ふぅ〜あったまる〜」

「美味しですね」

「うん、美味しい」

「ふーふー……あちゅっ!うぅ…」

「雛ちゃん大丈夫?」

「だ、大丈夫です…」


 温かい飲み物を飲みつつ雑談をする四人。

 遥は琴葉の腰に手を回し抱き寄せ、琴葉は遥に寄りかかる。そんな二人を見て雛は再び顔を赤くし、三咲は呆れた表情をする。


「ホント仲良いねぇ」

「んふふ〜いいでしょ〜ぎゅ〜」

「遥…先輩…」

「お、お二人はいつもそんな感じなんですね…」

「そうだね!」

「柊さん、それ大丈夫?」

「ん?あぁいつもの事だから大丈夫だよ」


 温かい飲み物を飲み身体も温まり、遥に抱き締められた事で眠くなってしまったのか目がトロンとしている琴葉。


「琴葉ちゃん、寝ちゃってもいいよ?少ししたら起こしてあげるね」


 遥がそう声をかけると琴葉はすぐに寝てしまった。


「ふふふっ…」

「ほ、ホントに寝ちゃった…」

「可愛いでしょ?琴葉ちゃんね、ギュッてしてあげるとすぐ寝ちゃうんだ」

「そ、そうなんだ」

「はわわわわ」


 遥に寄りかかって眠る琴葉は寝心地のいい場所を探すようにもぞもぞと動き、顔を遥の胸の上辺りに移動させるとその動きを止めた。遥はそんな琴葉の様子に微笑みつつ頭を優しく撫でる。


「この後どうしょっか?」

「あれ、外雪になってない?」

「えっ?ホントだ…」

「雛ちゃん迎え大丈夫そう?」

「ちょっとお母さん達に連絡してみます…」

「この辺で雪なんて珍しいね」

「そうだね」


 外を見れば小降りだった雨はいつの間にか雪に変わっていた。それも結構な勢いで降っている。雛は慌てて両親に連絡を入れた。

 少しして両親から返信があったのか雛の表情が暗くなる。


「ど、どうしよう…」

「大丈夫?」

「雪が凄いらしくて迎えに来れるか分からないみたいです…」

「う〜ん…あっ、泊まってく?」

「えっ!?」

「おっ、いいね。私も泊まっていい?」

「いいよ〜みんなでお泊まりパーティだ!」


 こうして急遽お泊まりパーティをする事が決まった。


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隣の部屋に住む聖女様な後輩に胸を貸したら懐かれたんだけど!? かめのて @acht_kujira

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