親愛なる我が蝶〈とも〉へ

近ごろ、某社経営のメタバースにおいて、原因不明の障害が多発している。
「無数の蝶に襲われ、アカウントが完全消失する」というその致命的な現象の裏には、人ならぬ者たちの、人知れぬ物語があった——

〈なんにせよ、人智を超えた事態である。この一連の顛末を『恋物語』になぞらえたくなるのは、ひとえに人間たる俺の、愚かさというものだろう。〉


※Skebにて『蝶葬』のお題とリクエストをいただき納品した、ショートショートです。タグの「AI」「人工知能」は作品の要素であり、今作品の執筆に使用等はしていません。