この、言葉にならない感情の出処を探して、孤高の杜へと迷い込んでゆく。


この人の作品は、全てそうだ。

恐ろしさの中にも何とも言えない美しさと儚さ、そして哀しみと潔さが存在し、その孤高さ故に、読む者は全ての言葉を奪われてしまう。


都市伝説と古来からの伝承、その町で囁かれる噂話。登場人物の心の中の孤独は、幼さと成熟のアンバランスな土台の上で奇妙な達観を見せる。
 胸苦しい程の不安を内包した穏やかな日々の中、彼は何を「否」とし、何を「諾」としたのだろうか。
暗い天の彼方に流星を見るような、物語の最後の圧巻には、もはや言葉がない。

 只々、その潔さに瞑目する他には。