第1話 出港準備
「やばい!遅刻、遅刻!」
幾度となく鳴り響くアラームで目が覚めた。
時間は午前8時前。
式典は午前8時過ぎ頃。
私は大急ぎで制服に着替え、家の前に停めてあった重力自転車(バラストサイクル)に乗り、全力で漕いだ。
「我々は幾度となる未確認生命体Xの襲来に対抗するために....」
式場へ着くと、式典は既に始まっていた。
「すいません、遅れました....」
姿勢を低くし、自分の席に向かう。
「おい!8分遅刻だぞ?要救助者が溺れそうになったらどうするつもりだ」
「すみません....」
隣の席に座る怖い男性隊員。
彼は海保の
名前を
元海上自衛官の経歴を持つ時間に厳しい男だ。
そして、
*海上保安官養成のための訓練学校
「我々は極秘に艦船を開発した」
「その名を
そう言い放つと船を覆っていたシートが一瞬にして開け、船の姿があらわになった。
「うわぁ....大きい..」
その船体は海保の一般的な巡視船(PL)より遥かに大きい。
甲板上には2つの54口径6ミリ砲銃が装備されている。
護衛艦と言うより宇宙船のようなデザインに近いだろうか。
「この船は1番艦から4番艦まで建造され....」
「その名の通り艦全体が特殊な
「5日後から実際に運用が開始され、機能性に問題がなければ主力護衛艦として日本近海の防衛任務に運用されていくことになる」
式典は1時間ほどで終わった。
式典後は各省庁のお偉いさん同士が話をしていた。
「これから大変になりそうですね...」
隣にいた女性自衛官に話しかける。
「そうだな..私達に日本の未来がかかっているのと同然だからな」
「えっと...君は?」
普通に何気なく話していた。
自己紹介より先に話かけてしまうとは....
「あ..申し遅れました,私、海上保安庁の
「広報担当でして....今回の護衛艦に密着取材ができればと.....」
名刺を手渡す。
「私は、航空自衛隊 航空分隊所属の....」
「坂本 雪 1等空佐...ですよね?」
彼女が戦死した航空自衛隊の
「今は、昇格して将補になりましたが.....」
どおりでこの式典にいるわけだ。
将補は将官の補佐階級だ。
では、補佐する将官は一体どこに?
あたりを見渡すが特にそれらしき人物は見当たらない。
「今日は式典だけなので私一人だけなんですよ」
「密着取材の件ですね、こちらで話を伺います」
そう言われ、湾岸分駐基地*《わんがんぶんちゅうきち》の管理棟に案内された。
*東京湾に併設された物資補給専用の基地。場合によっては入水式にも利用される。
「従来の護衛艦やイージス艦と比較した違いなどについてうかがえると...」
取材の打ち合わせは30分ほどで終了した。
「入水式は5日後ですので、遅刻しないようにしてくださいね」
バレていた....
さすが自衛官。
時間には鋭い....
今度は送れないようにしないと。
<組織解説>(完全フィクションですので実際の組織とは一切関係ありません)
ーーーーーーーーーーーーー(自衛隊) ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[主な基地と部隊]
・
・
・尾上基地(前線の観測基地)(沖縄県 那覇) /2085年の10月に蒸発
・第403航空分隊・・・主に領空に対するXの早期警戒任務を担当している。
・第八特殊空挺団・・・空自の特殊部隊(任務内容については非公開)
・第5普通科連隊・・・3つ部隊から成り立っており、全国に約1万の非常務隊員*が配置されている。 *緊急時に各基地へ招集される隊員。
[自衛隊の装備]
・03(ぜろさん)式地対空エネルギー誘導弾(全陸自部隊に配備)
・12(いちにー)式
・
・エンジン式旧型戦闘機・・・北海道の
(将来的にはすべての戦闘機が重力式へと入れ替わる)
・洋上警備護衛艦(マテリアルシップ)・・・政府が極秘に開発した新型の洋上護衛艦 (動力源にC3*モジュールを採用している)
*従来のディーゼル機関より大幅なパワーが出せるようになり、特殊光壁(エレメントバリア)が展開できる。
予算に何千兆円も投じており、国家をかけた死守とも言える。
次話:入水式と隊員紹介
蒼き海の鋼鉄艦(シルバーシップ) 黒川宮音 @kurokawa_miyane
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