もしかしたら、もう寄生されているのかも……?

この物語のラストで、私は『空蝉』という単語を連想しました。
恋い慕った相手・紅葉さんを我が物とするために自ら蝉を寄生させた主人公・海斗さん。
最後の1週間はさぞかし甘美な思い出だったでしょう。
彼の行いを肯定することは出来ません。
しかし、誰の心にも弱さは潜むもの。
彼は寄生蝉という妖魔に寄生されたのではなく、目的のために寄生蝉を使った彼の心の弱さこそが妖魔だったのではないか。
本作からは、物自体ではなくそれを扱う側の問題なのだというメッセージを感じました。