ヴァレンティーナとシーランの過去の共通点。

 【ヴァレンティーナ】

 ヴァレンティーナは母と死に別れの絶望から離れられなかった。

 「‥‥‥‥」

 無口になる彼女は、目からは透明な涙を流していた。それは光を反射させて、彼女の気持ちがよく表れているようだった。

 憂いの帯びたその瞳から見える景色はずっとぼやけて見えない。

 彼女は母が死んだことを受け止めることができなかった。

 それから時間がたち一つの紙が彼女のポストに届く。

 『死に別れの母の悲しみを正義で発散しませんか?』

 あまりにも怪しすぎる紙に私は恐怖を感じていた。

 「‥‥‥?」

 目の前が暗くなる‥‥‥。

 体全体は勢いよく倒れこみ、ヴァレンティーダの意識を持っていく。

 「‥‥‥」


 《母との愛は終わりゆく》

 倒れ意識を持ってかれて数時間したころ、ヴァレンティーナが目を覚ますと、さっきまでいた場所とは全く違う整った部屋のベットの上からの景色が視界に映る。

 「どこ、ここ‥‥‥」

 ヴァレンティ―ナの体に恐怖と不安がはしり、寒くもないのに震える手はとこ買う例が残っているように見える。

 「‥‥おっと、目を覚ましたか、ヴァレンティ―ナ」

 音を立てずに現れた謎の男はヴァレンティ―ナに近づく。

 「‥‥‥っ、あなたは、誰?」

 ヴァレンティ―ナが謎の男に何者かを訊くと、

 「‥‥俺はレイトさ。ヴァレンティ―ナ、よろしくな」

 簡単に自己紹介をする謎の男レイト。

 「‥‥何、者?」

 「そうだな、簡単に言えば特別兵器だ。お前は不幸なことに俺が世話役らしいが」

 「世話、役‥‥‥?」

 「お前を戦闘兵にするための先生みたいなものだ。簡単に言うとな」

 「私はそんなこと知らない。なぜ私はここにいる?」

 「そうか。お前、気を失ってたもんな」

 「‥‥‥‥」

 「俺がお前を連れてきたんだよ」

 「なぜ?」

 「『お前を引き取ってくれ』とお前の父ワームル上級戦闘兵に言われてな」

 「⁉。父はここにいるの?」

 「ワームルはもう死んだよ」

 衝撃の事実を軽い顔で言われたヴァレンティ―ナは驚き動きをぴたりと止めた。

 「‥‥‥‥そん、な‥‥‥‥ぁ」

 「救えなくて、すまん」

 「‥‥‥ぁ‥‥‥あ!。ああああああああああああ!」

 今までにない大きな声は彼女の絶望、悲しみを表現していた。

 「‥‥‥‥なん、で‥ぇ‥‥‥私から‥‥‥奪うの‥‥‥ぉ」

 涙を自分の袖で拭っても、拭え切れることのないくらいの涙を流していた。

 「俺は、なにも!、して‥‥‥やれなかった‥‥‥」

 自我を忘れ、泣き続ける彼女はもう周りを忘れ、何も見えなくなっていた。

 

 《ようこそ、下級戦闘兵へ》

 ヴァレンティ―ナは泣き疲れたためか、ぐっすり眠っている。

 「‥‥‥寝顔、可愛いですね。レイト先生‥‥‥」

 「そうだな。まあ、元の顔立ちがお前と同じように美しいからな」

 「そんな、恥ずかしいですよ」

 「そうか?でも本当のことだが。まあいい、ヴァレンティ―ナの特訓の手伝いをしてくれないか?」

 「え?別にいですよ」

 「そうかありがとう。

 ———シーラン―――」

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ルーカリアより薔薇を捧げて。 能十 @akanika

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