『馬鹿は要らん苦労する』
小田舵木
『馬鹿は要らん苦労する』
私は頭が悪い。自慢じゃないが、学校教育を全うしてない男なのである。
中学は不登校、高校は中退、大学受験は直前で逃げた。
お陰で要らん苦労をしている。大学全入の時代に大学すら出ていない、高校中退の男は珍しいのである。
そんな私も。20を過ぎれば働かなければならず。
ボチボチとパートをしつつ、就職活動をした。
ところがぎっちょん。普通免許すら持ってない高校中退の男は就職活動において圧倒的な負け組なのであった。何度お祈りされた事か。
だがしかし。世の中の企業には新卒大学生が集まらない企業も星の数のほどある。
私はハローワークの紹介でそんな企業に入社し、パートの身から社員までに取り立ててもらった。
…普通に大学を出ていれば。2年の修行期間を経ずに社員になれていただろうに。
あーあ。ホント、学校教育に反旗を翻していた頃の私をぶっ殺してやりたい。
お前のお陰で私は要らん苦労をしているのだ。
私は。どうにも学校教育に馴染めない男であった。
カリキュラムに沿って勉強するのが苦手で。得意不得意の差が大きかった。
数学や英語や古文には興味が持てず、生物や歴史や現代文は得意だった。
思えば発達障害のような感じがする。
学校の『お勉強』は嫌いだが、本を読んで自分で知識をつける事は嫌いではなかった。コレを思い返すとアドルフ・ヒトラーのあるエピソードを思い出す。彼もまた書を師匠をした男で、先人から系統的に学ぶのが苦手だったようである。
◆
私は自他共に認める馬鹿であるが。
両親は私に頭が良いと言い続けてきた。私はそれを親の
私は頭の良さを親に見せた事はないはずなのだ。
学校の試験は。得意教科は高得点を取るが、苦手な科目は赤点を取っていた男なのだ。
私は馬鹿である。なのに、関わる人間に頭が良いと言われる事がある。
友人や会社の先輩なんかに。意味が分からない。
私は鈍臭い馬鹿な男だし、頭の回転だって良くない。世間知にも欠けている。
…おべっかだったのだろうか。私は馬鹿だからそれを真に受けてしまっただけなのだろうか?
◆
そもそも。頭の良さとは何なのだろうか?
私が考える頭の良さとは。未知の現象に対して適切に対応が出来る、というモノなのだが。
世間ではどう考えられているのだろうか?私は馬鹿だから知らない。
一応、頭の良い大学を出ていれば、頭が良いのだろうが。
良い大学を出ていても、びっくりするほど不器用である種『馬鹿』な人間は居る。
私は昔のパート先でそんな人種を見てきた。
そういう人間は妙なプライドがあり。世間知に欠けているのだ。無闇に人を見下すと面倒な事になるという事が想像出来ていない。
人生30年生きて来たが。私は頭の良い人間に数える程しか出会ってない。
少しはキレる人は居たが、そういう人は別の方向で頭が悪かったりしたものである。
…私は『頭が良い』という事に対して。求めすぎなのかも知れない。
だがしかし。求めて止まないのである。そういう人間と関わってみたい。
まあ、私が馬鹿すぎて会話にもならないだろうが。
◆
私は頭が良くなりたいのだろうか?
…もう遅い気がするが。もう31なのである。
今更教育を受けても脳に定着しないだろう。脳の臨界期を超えてしまった。
貴重な思春期を棒に振ってしまった。
だが。年老いて馬鹿では居たくない。
ただでさえ独身なのが確定しているのに。その上馬鹿だと始末に負えない。
学ぶ…面倒な響きである。
今更どう学んでいけば良いというのか。
興味のある分野はある。脳を中心とする神経科学である。
私はうつ病で。脳の仕組みはある程度、把握しておきたいのである。
一応、神経科学の分厚い専門書を買ったりしてみたが、学校教育を全うしてない男には部分的にしか理解出来なかった。
私はそれが悔しかったのである。ああ、学校教育を受けてさえいれば。少しは理解が進んだだろうに。
この文章を読んでいる人に若い人が居るか分からないが、私は言っておきたい。
学べる内に学んでおけと。そして学校教育はキチンと受けておけと。
君が軽蔑する『お勉強』は必ず将来の役に立つ。後悔するのは歳をとってからである。
◆
…休日にやることがないから。とりあえずテキストエディタを開いて、文章を書いたら、こんな文章が出来た。
読み返してみて思う。文章が拙い。何を言いたいのか分からない。
それもこれも私の頭が悪いからである。
過去の自分よ、何故、学ばなかった?お陰で要らん苦労してるぞ。
『馬鹿は要らん苦労する』 小田舵木 @odakajiki
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