【自主企画参加作品】「薬を飲んで身体が縮んでしまった?!」あなたのオリキャラで掌編☆

 ※注意書き


 このお話は風雅ありすさんによる【「薬を飲んで身体が縮んでしまった?!」あなたのオリキャラで掌編☆】https://kakuyomu.jp/user_events/16818093089927112427という自主企画に乗っかって作ったお話です。

 なのでふざけてます(笑)シリアス要素は何もありませんしツッコミどころ満載です(笑)頭を空っぽにして読みましょう(*´ェ`*)


 ちなみにこちらのお話の大元のお話はカクコン10参加中のこちらになっております☆

『アルカーナ王国物語〜赤毛の剣士と夜明けの狼〜』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093089525475011


 では、頭をからっぽに出来ましたか?


 GO!!


 ◆◇◆  ◆◇◆




 俺の名前はガヴィ・レイ。


 アルカーナ王国一と言われる腕前の剣士だ。


 ある日、差し入れだと受け取った王家専属魔法使いから貰った酒を飲んで眠ってしまったところ、目が醒めたら……身体が縮んでしまっていた!!


 何故とか、どうして? とか。

 色々疑問はあるが、原因はアイツの酒のせいに違いない。


 俺が子どもになってしまっている事がヤツにバレたら、間違いなく弄ばれるに決まっている。


 そうなったら社会的にも俺的にも人生の終わりだ。

 一刻も早くここから離れないと……




 とりあえず身体が縮んだ為、ブカブカになった服を脱ぎ、服が入っている棚から半袖と寝間着用の短めの下履きを着てベルトで締める。


 剣を腰に刺そうとしたが重すぎてやめた。代わりに予備の短剣を腰にさして急いでガヴィは部屋を出た。


 ――が、入口で盛大に誰かとぶつかった。


「ぶふっ!」


 いつもならば、ぶつかってもびくともしないか相手の方がよろめくが、悲しいかなおそらく七歳前後のガヴィの体は跳ね飛ばされて不様に尻もちをついた。


 残念ながら、幼い頃の自分は同年代と比べても小さくて痩せ型だ。


「だ、大丈夫!? ――って……え?」


 いてて、と顔を上げた先にいたのは、


(げっ)


 金色の目を真ん丸に丸めたイルだった。


「え? えぇ……? だ、誰ぇ……?」


 ガヴィの執務室から子どもが飛び出してくればそれは疑問に思うだろう。しかも目の前の子どもは赤毛で、イルがアルカーナの王都に来てから知っている赤毛の人間はガヴィだけだ。


 子どもの歳の頃は五~六歳? クセの強い赤毛、菫色の瞳……


「……えっ!?」


 イルは目の前の子どもの正体の答えに行き着いて思わず大きな声を上げた。

 ガヴィは全身の力を込めて出ようとした部屋にイルを引っ張り込む。二人は倒れ込むように執務室へ逆戻りした。


「いったぁい……!」

「……いつもは察しが悪いのに、なんでこんな時だけ察しが良いんだよっ」


 自分の口から出た声が、声変わりする前の高い声でより情けなくなる。

 イルはまじまじとガヴィを見た。


「……ガ、ガヴィなの……?? ほ、本当に?」

「俺も信じたくねぇよ」


 返ってきた声はいつも聞いている声とはだいぶ違い高くて幼いが、口調は馴染み深いいつも通りのガヴィだ。


「な、なんでそんなことになってんの!?」

「俺が聞きてぇよ!」


 叫んでマーガから貰った希少な酒とやらを飲んだらこうなった事を言うと、イルは何かを察したように、


「……そう言えばゼルヴォさん、この間王妃様に頼まれた若さを保つための『あんちえいじぇんぐドリンク』とかなんとかの開発に取り組んでいるんだ―って張り切ってたけど……」


 と呟いた。


 それだ。間違いなく。


 ガヴィは頭を抱えた。


「若さを保つっていうか……若返り過ぎじゃない……?」


 とイルも同情の目をガヴィに向けた。



 あの男の仕事は魔法を使って陛下を支えることではないのか。なぜ度々怪しい薬を開発している。もはやマッドサイエンティスト。危険分子として投獄しよう。


「……とりあえず早くセルヴォさんのところに行って元に戻してもらったほうが良いんじゃない?」


 嫌だと思うけど、とイルは言ったがガヴィは難色を示した。


「嫌だ! 今アイツのところに行ったら絶対にオモチャにされる!!」


 ちょっと若返ったのならともかく、今ガヴィの姿は完全な子どもで。しかも平均の子どもよりも小さいものだから抵抗の術がない。マーガのところへ行けば良いように弄ばれてしまうのは目に見えている。


「でもゼルヴォさんのところにいかないと元に戻れないんじゃぁ……」


 イルのツッコミは最もなのだが、イルはガヴィの気持ちも解らなくもないのでこのままマーガの所に直行するのも可哀そうな気がする。


 小さくなったガヴィをよく見ると、服はぶかぶかだし足元に至っては裸足だ。

 マーガのところに行くにしてもとりあえずこの格好をどうにかしなければいけないだろう。


「……しょーがない。じゃ、まず靴買いに行こう? ね?」


 イルにそう言われて「ハイ、じゃあどうぞ」と跪いてくるりと背中を差し出された時には、ガヴィは本気で死にたくなった。





 城下街の靴屋に子供用の靴を買い求めるために、イルは小さくなったガヴィを背負って行こうとしたのだが、これにガヴィは難色を示した。


(実際は)九つも年下の彼女におぶわれるのも屈辱であったし、好きな相手に背負われるとか、男の沽券に関わる。

 裸足で店まで行く! とごねたのだが「怪我するでしょぉ!! 今すぐセルヴォさんの所に連れて行くよ!?」と言われてしまえばイルの言うとおりにするしか無かった。


 イルの背中に身を寄せて揺られながら、彼女の背中を感じたいのはこういうシチュエーションでは断じてない、とガヴィは店につくまで違う意味で泣きたくなった。




 靴屋で靴を購入し、ついでにぶかぶかの服も服屋でピッタリのものに変えた。

 服が大きいのは確かにみっともなかったのだが、体に合った服を着ると痩せ型の小さなガヴィはますます小さく見えて、ガヴィは「多分七歳くらいの時の俺」と言っていたが、その体躯はどう見てもシュトラエル王子と同じくらいに見えた。なんならふっくらとしていない分、王子よりも幼く見える。


 椅子に座っても地面に足がつかずにぷらぷらとつま先が揺れていた。


(……か、可愛い……)


 いつもはイルよりも大きくて、押してもびくともしないのに、小さくなってしまったガヴィは本当に細くて小柄だ。クセはあるけれど大人のガヴィよりも柔らかな赤毛は日に透けてふわふわとしている。

 背中に背負った時もものすごく軽くて、全然苦にならなかった。


「はぁ……どうすっかな……」


 しょぼんと、(いや本当はしょぼんとしているわけではないのだがイルにはそう見えた)肩を落とすガヴィにイルはなんとも言えない庇護欲がかられてキュンとする。多分正直にそれを言ったら怒り狂うだろうから黙っておくが。


「……いずれはセルヴォさんの所にいかなきゃいけないと思うけど……やっぱりまずはゼファー様辺りに相談するのが良いんじゃない?」


 イルの言葉にガヴィは思いっきり眉を下げた。


(うわーーっ! 破壊的に可愛い!!)


 惚れた弱みのなんとやら。全てが可愛く見えてしまう。


「えー……やだな」


 いつものセリフもちょっと舌っ足らずになってしまい、より可愛さを増長させている。

 最早イルは暫くこのままでも良いかも、なんて思い始めていた。


 結局すぐには城に帰らずに、意味もなく城下街をプラプラと歩く。

 まるでデートのようであったが、店の硝子に映るのはどう見ても姉と弟にしか見えない。

 だんだん空は日が傾いて、夕闇が迫ってきていた。


 このままとりあえずガヴィの屋敷に帰ろうか?


 だがしかし、このままでいて何か陛下の周りで有事があったりしたら対応ができずに困ってしまう。なんせ今のガヴィは自分の持っている剣と比べても身長が対して変わらないのだから。


「陛下や王子に何かあったら、どうにか出来るのはガヴィだけなんだからさ……そろそろ帰ろう?」


 セルヴォさんがふざけないように、私もついていくからさ。とガヴィに諭すと、小さなガヴィはちょっと不安げな顔をして、はあぁぁぁーーっと長い溜息をついた。


 渋るガヴィの小さな手を繋いで、王城までの道のりをとぼとぼと歩く。

 マーガのところへ行きたくないガヴィの歩みは意識的に遅かったのだけれど、ゆっくりと二人で歩く道のりが、ガヴィには申し訳ないがイルには嬉しく感じられた。





 さて、嫌々ながらもマーガの所に行ったガヴィであったが……。




「いやぁ! 申し訳ない! ガヴィ殿には希少な酒を渡したつもりが実験中の薬を渡してしまったようで……」


 ちなみに放っておいても三日後には元に戻りますけど……とマーガは言ったがガヴィに睨まれて「あー、はいはい今すぐがよろしいんですね?」と部屋の奥に解毒薬を取りに行った。


 とりあえずマーガの執務室奥の部屋を借り、元の服に着替えて解毒薬を飲みに行く。

 その間にお茶を飲みながらマーガはイルに薬について語りに語った。


「いやー、今回の薬はですね、王妃様に肌にいい美容薬はないかと言われて開発したのですが……どうせなら完全に若返る薬ができないかと個人的に研究を重ねまして、アボトキシンという薬草とお酒を組み合わせるとですね……」


 はじめはうんうんと聞いていたイルだったが後半は何を言っているのかよくわからなくなってきたので半分流して聞いていた。


 そのうち隣の部屋からドタンバタンと賑やかな音がして、勢いよく扉が開いた。


「おいコラ!! このエセ魔法使い!! 元に戻らないじゃねぇかよぉぉぉ!!」


 部屋から顔を出したのは、元のガヴィ……ではなく、ちょっぴり大きくなった十五歳位のガヴィだった。


「おやぁ? 解毒剤の配合を間違えたかな……?」


 大丈夫です、三日後には元に戻りますから♪


 そう言ってマーガは綺麗に微笑んだ。



❖おしまい♪❖



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アルカーナ王国物語 番外編~ひみつの小噺~ 東雲 晴加 @shinonome-h

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