カクヨムコン9のSF短編を1400作読んだ連載。尚、筆者の生命は厭わん!
カクヨムSF研@非公式
第一週~第二週① ショートショートとSFホラーが光る
熱狂度として★5が最高です。
「テセウスの船」作者:寝る犬 ★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/1177354054881712572 )
・非常に短い2000字以内で過不足なくオチまで綺麗に収まっています。テセウスの船というのはある物体において構成するパーツがすべて置き換わっても過去と現在のそれは同一のモノと言えるかというパラドックスです。それがうまく物語として提示されていて、ショートショートとして完成された印象があります。
「空想科学小説「超光速ハナクソ」」作者:寝る犬 ★( https://kakuyomu.jp/works/1177354054881732241 )
・ハナクソを飛ばす異能の力を得た主人公。ネタ小説に見えてSFの勘所を掴めています。光速を超えると物体はどうなるのかというSF的解決がよかったです。
「スカスカ0人間の描く正解」作者:小林勤務 ★( https://kakuyomu.jp/works/16817330650048909255 )
・これは文芸作品ですね。ちょっと変わったヒロインとの物語。原子のモチーフが二人の関係を表している佳作だと思いました。
「Unconnected man」作者:武石勝義@『神獣夢望伝』発売中! ★( https://kakuyomu.jp/works/16817139557845132409 )
・同一作者のSF大河絵巻を下地にそれ以前の世界を描き出しています。繋がりを求める人間への反発が情念としてドロドロと迫ってきます。
「She drinks The Water.」作者:山切はと ★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330647853481862 )
・AIの描き方が他の作品に比べて画一的ではなく、非常にゾクゾクした作品です。交流によってAIが成長するお話はポジティブに捉えられがちですが、そこをひっくり返したところに上手さが光っていると思えました。SFホラーを読みたい読者にもおすすめです。
「緊急クエスト」作者:根竹洋也 ★★( https://kakuyomu.jp/works/16817139554849032061 )
・なんでもかんでもクエストとしてゲーミフィケーションされた世界が舞台です。話の転がし方にはインフレーションさせる方法がありますが、その好例でしょう。子どもの心で描いたというくらいに、いい意味でふざけているオチとそこに至るまでのクエストとそこに加算されるポイントが面白いです。ちょっとブラックな読み味にも
「いい感じの惑星」作者:根竹洋也 ★★★( https://kakuyomu.jp/works/16817330652846915201 )
・ウェブ小説ではもはや同じみとなった仮想世界のお話です。仮想世界を物件のモデルとして売るという発想の豊かさは嫉妬レベルでしたね。ある種のお仕事小説なのかなと読み進めていくと、一変して、思わぬ角度から攻めてきます。短編作家としても安定感のある作者だなという印象です。
「フィンブルヴェトル」作者:シュピール ★( https://kakuyomu.jp/works/16817330667190435271 )
・寒い地方のお話でしょうか。なんらかの終末的世界でのお隣さん同士の交流譚です。きちんと物語を書こうという意識を感じられて好印象でした。謎めいた世界はあえて克明には書き出さずにドラマを配置した印象でした。なんらかの続編があるならば読みたいと思わせました。
「夏の地球」作者:王子ざくり ★( https://kakuyomu.jp/works/16817330667765013277 )
・いわゆる宇宙インターネットという存在である
という謎めいた設定が読ませます。ところが思わぬ検索ワードの出現にくすりと軽い笑いを生じさせるところが軽妙でした。ストーリー運びも謎めいており、よくわからなかったというのが正直な感想です。
「億分の一のリブラ」作者:もしくろ ★★( https://kakuyomu.jp/works/16817330667798634294 )
・未来の死刑制度のお話で重たいお話です。SFがタブーを問えるジャンルであるならばまさにこの作品はそうだと言えそうです。
「ふたりの異世界発電プロジェクト」作者:楠樹 暖 ★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330667708588996 )
・異世界の存在が当たり前となった世界で、異世界同士のあいだにある電位差を使って発電しましょう、というトンチキなアイデアが光る作品です。SF的な発想が豊かで、欲を言えばキャラをもう少し立ててほしかったですが、終始笑いながら読みました。
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