飛行船

傘根哉那

1話だけ

 いつからだろう、老いることを気にしなくなったのは。いつの日か彼は考えるようになった。

 彼の年齢は100歳以上は超えていた。しかし、身体は全く衰えなかった。どんどん季節は過ぎていき、いろんな楽しいイベントが行われていき、いつかは忘れ去られていく。そんな日々が次々に起きていた。


「どうかしましたか?」


「いや、なんでもない。話に戻って。」


「はい、それでは…」


 この受付の人、美しくて20代ぐらいに見える。でもどうせ違うのだろうから、最新技術にはいつも目を見張るものがある。


「…これで、説明は以上となります。何かご不明な点はありませんでしょうか?」


「あっ、大丈夫です。」


「しかし、驚きです。この年から始めようだなんて。」


「いや、流石にこのままだとね。」


 昔から今尚、流行り続けている体感ゲームをこの年ながら、として始めてみることにした。利用規約に同意して早速、行われてる最中の場所に向かった。


「あっ、おーい。」


 そこに向かうと友人が待っていてくれていた。の第一歩を踏み出した。

 目の前が真っ暗になった。


 その日、幾つもあった全ての電源が途絶えた。そして、その犯人のせいでほぼ全ての生命いのちが消えた。

 その電源は脳を活動させるためのもの。100年前に世界で行った。心身分離政策アウトブレインによって、皆は仮想現実で雑務をAIに任して日々を過ごした。

 その政策を拒否、または管理する人々を残して。

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飛行船 傘根哉那 @Hukurokaburi

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