ゴーストタウン 現代詩1編

滝口アルファ

ゴーストタウン

鬱状態の

私の中で

蠢(うごめ)いていたものは

何だったのだろう


うじむしのような

ぼうふらのような

悲しみ

だったのだろうか


それは

静かに静かに

閉じ込められていたからこそ

存在理由があったのだと

交感神経が

副交感神経に

囁(ささや)きかけてくる


しかし

全て終わったこと


ゴーストタウンと化した

街の中心の

蜃気楼のような

白い教会に

いつしか

私は立っていた


そして

その教会を包むように

諦念(ていねん)の

天気雨が

煌めきながら降っているのを

私は確信していた


やがて

うじむしのような

ぼうふらのような

悲しみが

美しく滅び果てて

その全ての魂が蒸発して

ダブルレインボーになっていくのを

私は盲信していた

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ゴーストタウン 現代詩1編 滝口アルファ @971475

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