五分の遅刻⑤
「いいよ。一緒に行こう」
それが彼の返事だった。
彼にとってはただのクラスメイトと都心に行くだけかもしれない。
けれど、私にとってはクラスメイトと一緒に行く以上の価値があった。
電車はびっくりするほど空いていた。1車両に1人か2人いるくらい。
人もいないし、話したい気持ちも強かったから電車ではずっと話していた。もちろんマナー違反にならない声の大きさで。
目的の駅までは一緒だったが、そこから先は流石に行き先が違った。
改札を抜けたところで私達は別れた。
駅を出てインディーズバンドのCDを買った。お昼をハンバーガーチェーン店で済ませ、夕方までふらふらしていた。
帰りの電車は1人で少し寂しかった。
このことがきっかけで私と彼の距離は縮まった。
実際は私が彼に憧れを抱いて興味を持ったというのが正しいのかもしれない。
でも距離が縮まったのは事実だ。
挨拶をする仲。
学校で話す仲。
一緒に帰る仲。
なんて具合に。
他のクラスメイト目に私達はどのように映ったかはわからない。
ただ、私と彼の関係はただのクラスメイトこの一言で十分だった。
望めばそれ以上の関係性にもなれたかもしれないが、私も彼も望んでいなかったとおもう。
選ばなかった未来、果たしてその先は... ばる @barunoyuta
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。選ばなかった未来、果たしてその先は...の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます