終章

 それから約20年が経った。祖父も90を越えた。ある日、田舎に遊びに行ったことの話がたまたま出た。

「あの時のことを覚えているか?」

「うん」

「あのときのこと結局どう思ってる?」

「あれは自分が悪かった。一言、おじいちゃんや家の人に遊びに行って良いと聞いてから判断を仰いでから行けば良かったんだ。あのときはみんなに迷惑をかけて本当にごめんなさい」

「そうか」

「あのときはわからなかったんだよ。報告・連絡・相談の大切さなんて」

祖父は一言。

「分かった」


 あと、タヌキチの言ったとおり僕は小説を描くことに取りつかれた。小説を描いて十年くらい経った頃、タヌキチが一回だけ僕の夢枕に立ったことがある。

「蒼くん、やっぱり小説を描いているね。僕の見立て通りだ。あのときの約束どうなったかな。実はね、僕も小説を描き始めたんだ。もしよかったら僕たちのことも小説に書いてくれるとうれしいよ! お互い切磋琢磨して頑張ろうねっ!」

 そういうとタヌキチはすうっと消えていった。

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風の記憶 澄ノ字 蒼 @kotatumikan9853

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