第47話 魂の解放

 〚ユニークスキル:魂の解放を獲得しました〛


 突然現れたウィンドウ、そして『魂の解放』が発動する!


「いぎゃぁぁあああ!!!」


 痛ぇ!! 超痛ぇえ!! なんか変なものが抜けてる気がする!!

 俺は凄まじい光に包まれ、視界が真っ白になる!!


[取得した全ての魂が解放されます]


 取得した魂……経験値か!? あれ経験値が解放、全部吹っ飛ぶのかッ!? あぁちょっと待って! 今までアホみたいに貯めてきた俺の経験値!!


 光の量はさらに増す。とりあえず何されるかわからねぇか回避……あれ、

 身体を傾けたところで……俺の身体は動かなくなった!

 どういうことだよ! 動けよ俺の身体ァ!!

 原因はあれか、光の出しすぎで処理性能が負けたか! つまりフリーズ&ラグでこうなってる!! ざけんな!


「……カカッ、何が起きてるからわからねェが、とりあえずトドメだぜッ!! 『魂絶』」


 齧られ欠けた太刀が襲いかかる!! あぁ、死んだなこりゃ。

 大人しく目をそっ閉じ、俺の身体は再び両断……されなかった。

 スカッとすり抜ける。俺は回避していないはずだが……いやしてるのか。

 回避の無敵判定がある状態で俺はフリーズ、見事スーパースターの如く無敵になったわけだ!


「ハーハッハッハ! ◯△※□☆@✕」

「何言ってるかわかんねェよ!」


 あ、音声まで出力できてない。まぁいいや、無敵時間が終わるまで思考タイムだ。

 さてあの『魂の解放』だが、まぁ経験値ブッ飛ばすだけのデメリットなスキル訳がねぇ、まだ効果があるはずだ。てか活路になる、じゃなきゃこんな状況で取得するはずがない。

 となると、相手の経験にもブッ飛ばせるってことじゃないか? うん、1番濃厚。当てて相手のレベル下げながら倒せってことか。


 よし、やるぞ!!


 ◇◆◇


 5分経過、少し身体が動いた。全てって一体何億何千万あったんだよ。そりゃ光もすごいことになるわな。

 とにかく動いたら即行動、『魂の解放』をぶちかますだけ――


 ゴテン、と横転した。光も消える。

 動いたっ! 喰らえコンニャロー!


「『魂の解放』ッッ!!」


 スキルを発動してタマグライに触れる。

 すると俺の時と同様、白い光が溢れ出る! 相手にもしっかり効くんだよォ!

 だがその姿は未だに巨大な太刀のまま、一回で行くわけないよなぁ。

 まぁ数こなせば行ける、さぁひたすらスキル祭よ!


「『魂の解放』『魂の解放』『魂の解放』『魂の解放』ーーッ!」


 俺ほどではないが凄まじい光が放たれる、あと何回だこれ。とにかく連打連打。

 段々サイズがちっさくなってきた気がする。効果アリ、続行!


 回避とタッチを繰り返して、ようやく元のサイズに。ついに『魂絶』も使ってこなくなった! っしゃあ!!

 あとはどうにかして倒す!! やり方は知らん!

 とりあえずあいつブッ飛ばす!!


「うらァ! ぶっ飛べこの野郎!!」


『飛燕』を発動し、途中でキャンセル。足を出す! 喰らえ回転蹴りィ!!

 足に触れたタマグライはカラン、と音を立てて地面に落ちる。その瞬間、鎧武者からの邪悪なオーラが消え去った。乗っ取られてたラセツが戻ってきたのか! なら……!


 空いた手に俺が持つ「至高の刀」をセット!


「おい起きろラセツのオッサン! ちょっと今からあんた斬るけど、どうにか頑張ってくれ!!」

「……? お前は何を……。いやそれより今まで私は――」


 落ちたタマグライを回収し、『一閃』を発動。一気に距離を詰めて俺はラセツに斬りかかる。

 だがもちろん、ラセツは刀を構えて迎え撃つ。侍だもんなこの人。


 タマグライと「至高の刀」がぶつかり合い、火花を散らす。そして――


 バキンッ!!


 折れたのはタマグライ。刀身の上半分は地面に突き刺さった。


「一体何のつもりだ……?」

「その刀の方が強いってこったよ、今まで使ってたやつよりずっとな。今、その刀はこの妖刀をへし折った。その刀の方が優れてるってことだよ!」


 親父さんの刀の方が良いってこれで証明できたか……? 多分できたな、うんできたな。


 俺の様子を見て、ラセツは何が起きていたか理解したようだ……きっと。


「……そうか、お前が私を救ってくれたのか……」

「残念ながらまだ完了してないね、早く親父さんのとこ行って仲直りしてきな。それがハッピーエンドだぜ」

「…………今さら私が許してもらえるだろうか。あの日私は……酷い言葉をかけて殺したのだぞ……?」

「親父さんだってお前がやったわけじゃないってわかってんだ。絶対上手く行くね。てか行け」

「……そうか……」


 折られたタマグライが今まで通りの再生を見せることはなかった。溜めてきた経験値が尽きたのか、操る対象がいないからか。


 ……とりあえず討伐完了ってことでOKかな!?


「……礼を言おう、若き侍よ。お前のお陰で幾年月の呪いから解放されることができた。本当に、ありがとう」

「おぅよ、後で親父さんにも感謝してこいよな」


 ラセツの身体が少しずつ、崩れ落ちる。何年前の人間だか知らないが、もうとっくに死んでいたのだろう。

 最後に「至高の刀」をカランと落として、ラセツは成仏してしまった……。


 〚EXモンスター:魅せし妖刀タマグライが討伐されました〛

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