第3話くろみ爆誕♥️

くろみが部屋に足を踏み入れるとそこは鏡張りのとても大きなホール?であった。

遥か向こうに見えるのは100はありそうなロッカーの数々。


えぇ~、こんなに大きな部屋見たことありません。

息を飲むうらみの横には凌駕が立ち、後ろで鈴音が優雅に佇む。


凄いでしょ?この事務所のタレント達はみんなここでわたしのレッスンを受けるの。

お姉さ、いや社長の計らいでね、たくさんのアイドルが一斉に同じダンスを学ぶ事によって、時間短縮、個々のスキルを見極められるんだって、ねぇ社長?


えぇ、そうよ。時間は有限だから一秒たりとも無駄には出来ない。ましてやアイドルには旬があるから時代に取り残されないようにしないとね。

さぁ、さっさとうらみさんを審査しなさい!


言われなくてもそうしますぅ。

ほんとにもう、人を何だと思ってるのかしら?

小声で愚痴を溢す凌駕。

それを聞いたうらみはくすっと笑う。


そう、その表情よ?

緊張も大分緩んできたようだからまずはあのロッカーに荷物を入れて着替えてらっしゃいな。


はいっ、すぐに支度します。


小走りでロッカーに向かううらみ。

鈴音の側に凌駕が来て小声で話し始める。


お姉さん、あの娘はどういう路線で売り出すきなの?

もう決めてあるわ、まずうらみがどれだけのものを表現出来るか見物だけど…。


言い終わらない内にラフな格好のうらみがふたりの側に駆け寄る。


御待たせしました、よろしくお願いいたします。


あぁ、早かったわね。それじゃあ早速始めましょう?


隅にある音響機材の所に行き操作する凌駕。

部屋の中央でストレッチを始めるうらみ。


うらみ準備はいいかしら?


はい、お願いします。


音楽が流れうらみが華麗なステップを踏み歌う。


30秒が経過しようとした時に鈴音が立ち上がりパンパンと手をたたく。


もういいわ、おしまい。

うらみさん、汗を拭いて着替えなさい。


そう言い残すとレッスン室から事務室へ戻る。


うらみは何が起こったのか理解出来ずに呆然とする。額の汗をリストバンドで拭い息を整える。


あぁ、やっぱり駄目だったんだ。お母さんの言った通りだった、そんなに甘くはないよって。


うらみの両目からは大粒の涙が。

頬を伝わり床に堕ちていく。

気持ちと共に。


凌駕がそっとうらみの肩に手を置いて


うらみ、良くやったわ!あなた凄い素質よ?

お姉さんがあれ程早く手をたたくなんて見たことないんだから。


項垂れた頭をすっと持ち上げて凌駕を見るうらみ。ぽかんとした表情をみた凌駕は


合格よ!ささっ早く着替えないと!

お姉さ、いや社長を待たせたら今度は何言われるかわかったもんじゃない。

ちゃんと顔拭きなさいね?汗と涙でぐちゃぐちゃなんだから、ふふふっ。


そう言って凌駕も退室する。


全身が震える

小さく丸まり両拳を固く握りしめ、一気に爆発。

ふと鏡を見るとそこには何とも言えない表情の自分が写っていた。


こうしちゃいられない、早く着替えないと!


ロッカーに駆け寄り汗と涙を拭い着替えを済ませて部屋を後にする。


ソファーに鈴音と凌駕、向かいの席にはうらみが座り目の前には分厚い資料が置いてある。


うらみさん、今日からあなたはくろみ、と名乗るの、良いわね?

その資料を最初の5ページ分を30分で暗記しなさい。

それが終わったら会場までぶぅに送らせるわ。


そう言い残すとさっと立ち上がり


ぶぅ、ぶぅはいないの?あっきたきた。

あなた早くきなさい、うらみさん、いやくろみを会場まで連れて行くのよ!御願いね。


その場を立ち去る鈴音。

資料の表紙をまじまじと見つめるうらみ、はっとして立ち上がり社長の背中に向かって、


今日から御世話になります、よろしくお願いいたします。


拍手する凌駕とぶぅ。


こうしてうらみの歯車が動き始めるのであった。

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