刑を転じて復讐となすか。

 許された報復をし、復讐鬼となるのは簡単だが、二度と帰ってこられなくなる。
 誰からか強いられた訳でもないその脅し文句が、きっと彼自身が彼を止め、未だ人間足らしめているのだと思いました。

 最初は復讐刑という制度に人並み以上の興味もなく。他人事のように感じていた主人公。最後には誰が戒めているわけでもないのに自分の価値観に縛られ人間で居続ける主人公。
 一話だけのはずなのにこれ以上ない満足感。その一話だけに詰まっている人間とはなんたるか。
 最後まで人間らしい主人公だと思いました。

 とても感慨深いものでした。ありがとうございます。

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