なんやかんや。

 なんやかんや、なんやかんや、とても奥さんのことを愛しているのが伝わる一話でした。

 一話というか……一杯?

 まるでお二人が見合う机の片隅に。
 そこにお邪魔させていただいて。一緒に一杯ごちそうになったような気分です。

 モヤモヤするのは、きっと作り手の本能ですから。
 「いただきます」を言ってほしいんじゃなくて、一緒に言いたいのでは? と思いました。もしそうであれ、そう言わないところもまた一興。
 もしやそれが甘じょっぱさの秘訣(ミソ)なのかも?

 油揚げには手を付けないところ、奥様なりの優しさが油揚げと一緒におつゆに浮かんでいるようで微笑ましいです。暖色に包まれたお昼時。過ぎてしまうのが名残惜しいほど、読み手でいた私にとっては暖かかった。


 秋と冬にまた読みたい作品をありがとうございます。


 ちなみに私はかき揚げを別に。
 三分経ってスープを入れて。最後に別でとっていたかき揚げを落として、それを少し箸で沈めて。浮かんできたのを待って完成です。(いつもは赤いきつねですけどね)