幾筋も星の軌跡が描かれる寒空の下。少女は願いを精一杯に手を伸ばす――。

 柔らかな雰囲気で描かれる、とある夜の出来事。

 流れ星に願い事をするため、親に内緒で家を抜け出した女の子。彼女と、彼女が出会った少女2人の語らいを幻想的に描いた作品。

 3人が飛んだり跳ねたりしながら星を、願いを捕まえようとするさまは美しく。でも、その夜が、本来ならばあり得ない――奇跡であることは明白で。流れ星のような一瞬の出来事は儚く、それでもやはり美しい。

 果たして彼女たちの願いは叶うのか。きっとそれは、流れ星しか知らないのかもしれません。

 この季節。星を見上げながら、心地よい読後感に包まれてみるのも一興ではないでしょうか?