道の灯り

 みちのあかりさんは、実にいいところを突く方だ。

 営業もしません交流もしません実力だけをただ磨き上げて孤独な道を歩み続けます。
 物書きの本質は、こっちの方に偏っているものだ。
 大袈裟な話ではなく、執筆中は誰もがこの状態だろう。

 だが、そればかりでは、現実とはどこかで乖離していく。
 その乖離ぶりが自分できちんと把握できているのならばよいのだが、困るのは自己研鑽にしがみつくあまりに、誇大妄想を頼りにする人だ。

 ほらあれだ、「見る眼のない奴らは相手にしない」「いつか誰かに見出されてベストセラーになる」的なやつだよ。
 大作家につきもののミラクルな、なにかだ。

 確かにそういうことはある。意外とある。それは否定しない。
 モンゴメリ「赤毛のアン」だって、コナン・ドイル「緋色の研究」だって、出版社に相手にされず突き返されていたのだから。
 でも「いつか」のそれ、あなたですか?
 そこはちゃんと足許をみましょう。

 かといって、「お願いします、星を下さい、賞を下さい」があからさまな営業活動も、本末転倒というか、肝心の作品の内容がないのなら何がやりたいのか分からない。
欲しいのは作家の肩書だけなのかと軽蔑されるだけだ。


 理想論だけでもなく、あさましいまでの票集めでもない。
 みちのあかりさんが提示してくれるのはその中間の、ちょどいい現実だ。
 
 現実はこうだよ。
 過酷だよね。
 でもね、まだ出来ることはあるよ。
 あなたの横並びにどれだけの人がいるか知ってる?
 ここにこんなデータがあるよ。見てごらん。

 酸っぱい現実に肩を落とす人の前に、シロップをかけた温かいレモンティーを出してくれるのだ。
 甘すぎず、苦みもあり、眼がさめる。

 そして、みちのさんは、

 ——何が出来るか、考えてごらん。

 アニキの語り口で肩を叩いて、すいすいっと去っていくのだ。

 押しつけがましくなく、やばいくらいに頼れる。
 なんだか無条件にやる気が出てくる。