第21話
「ピューリオスリング」
セナクは氷で出来た大きなリングを3つ作り出すとフープのように投げつけ敵を輪の中に捕らえた。
アイロラは突然現れた幼女に呆気に取られていたが何らかのスキルを使われた事で我に返る。ダメージを受けている様子はないがこのままではマズイと思い脱出を図るもその動きに追随した氷輪にぶつかり阻まれる。
しかしその衝撃で氷輪の1つが壊れた。その事で行動阻害系のスキルで強度は大した事はないと予想を建て試しに指を伸ばし攻撃するともう1つも簡単に破壊でき余裕がうまれた。
「こんなオモチャで閉じ込めたつもりだったのかしら。最後の氷を壊したらアンタ達まとめてぶっ殺してあげるわぁ」
そう言い放つと最後の氷輪を壊すべく指を伸ばすが氷は砕かれず指が弾かれてしまった。
(あら?おかしいわね。油断しすぎかしら)
そう思い今度は全力で刺突を放つも結果は変わらなかった。
あと1つなのに、そう思いながら攻撃を加えるも壊れず焦りが募る。
そんな様子を見て俺も内心余裕は無く焦っていた。あのスキルで出来た氷輪はそれぞれ斬・打・突攻撃を弱点に持つ。対応した攻撃であれば子どもの力でも簡単に壊せる強度しかない。
先程までの戦闘でアイロラには打撃による攻撃は無いと思っていたのにぶつかったのが打撃扱いになったらしい。刺突は多用していたので予想通りだが残りは斬撃だけだ。斬撃と言いつつ軽いチョップ程度で壊れてしまう。セナクもそれは理解しているので必殺技を唱える。
「スワンソング」
辺りが冷気に包まれると氷輪を囲むように大きな氷の結晶が14つ出現する。それらが1つずつ順に綺麗な音を立て砕けていく。結晶が減る度に冷気が強まり抵抗していたアイロラの動きも鈍くなってきた。急激な温度変化のせいか金属質と言っても生物の限界か、伸ばしていた指に亀裂が入る。そして最後の結晶が砕けるとともに凍りついたアイロラの頭がごとりと落ちた。
MP切れや必殺技の反動で換装が解かれる。一息つきたい所ではあるが液体金属の敵はしぶといイメージがある。念の為体にも槍を叩きつけておく。しばらく待ってみたが金属が集まって復活する事もなくちゃんと倒せていたようだ。レベルも上がっていたのでこれを先に確認していれば死体撃ちする必要はなかったかもしれない。敵とはいえ人型で会話も出来た相手だ。申し訳ない事をした。そして非道を重ねるようでやりたくないが何をしていたか手掛かりを探らなければならない。しかし死体を調べた所何も見つからなかったので犬を使いアイロラの拠点を探す事にした。
敵は単独だったようで何の妨害もなく隠れていたであろう拠点を発見出来た。そこで盗まれた装備の柄の部分が大量に見つかったが刀身など金属部分は見つからず行方不明のままとなった。都市の資材不足はイタイが収穫もあった。アイロラの使っていたと思われる手帳が見つける事が出来た。
巻き込まれおっさん、時々魔法少女 @supe_--
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