電話恐怖症というトレンドに思う~電話は人類史上最悪の発明なのか?~

kayako

そのベルは、何の為に。

 


 先日何気なくX(旧ツイッター)を見ていたら、「電話恐怖症」のトレンドが。

 自分もやはり電話は昔から苦手なので、興味深く読んでおりました。


 どうやらこのワード、朝の情報番組で話題になったようで。

 20~30代の若者世代は電話のやりとりを苦手とする人が多く、固定電話のある職場で働く男女のおよそ半数以上が「電話が苦手」と回答したとのことです。

 理由としては


 ・電話で自分の作業が中断するのがストレス

 ・やりとりが文字に残らず非効率

 ・質問に回答を求められても、熟考する余裕がない

 ・電話対応の経験が少ないことによる恐怖心

 ・電話だと言った・言わないの話になるので文面に残したい


 が主なところ。

 いやー分かる。全部分かる。分かりすぎる!!


 私も電話が大の苦手です。プライベートならともかく、仕事での電話はものすごく苦手です。

 電話をかけるのも嫌ですが、取るのはもっと嫌です。

 今の仕事は電話応対がないのですが、それだけで滅茶苦茶楽に感じる。

 昔いた職場は本当に酷かった……



 実は自分、新卒での就職で大失敗しており、いわゆる「新卒」で入社した経験がありません。

 今までの職場は全て「中途入社」扱いで入っております。

 つまり、「新卒」という立場で電話を取る訓練を受けたことがない。

 それなのに、「中途入社だし、当然電話ぐらい取れるでしょ?」という目で周りから見られる。

 で、何が起こるかというと


 ただでさえ電話が(というか人との会話自体が)苦手なのに

 ちゃんとした電話応対の訓練も受けていないまま

 周囲からは当然のように「さっさと電話取って!」と急かされる


 という、地獄みたいな状況の出来上がりです。

 それでどうしたかというと――


 見よう見真似で、密かに必死に練習した覚えがあります。最低でも、出だしで社名と課名を名乗る部分だけは噛まないように!はっきり!!そこを乗り切れば何とかなる!!

 と自分に念じながら、家帰って自室で何度も練習……


 そうしているうちに、何とか最初の出だしだけはまともになったと思います。

 慣れないうちは他の社員に聞こえる中で電話をかけるのすら恥ずかしく、階段あたりに隠れてこっそり携帯から電話かけたことさえあったレベルの電話苦手人間でした。

 が、自主練習を重ねることで何とか、導入部分だけは人前でも恥ずかしくはないレベルまでになった(はず)

 そこから続く会話で、滅茶苦茶な失敗を何度やったやら分かりませんが!



 それでも、電話苦手な性質は今でも変わりません。

 電話受けた回数がノルマ化されてた職場もあったけど、あれはマジで毎日、どころか毎分毎秒スキあらば逃げ出したかったし、逃げ出したも同然の状況で退職した(;´Д`)



 さらに言えば、自分にかかってきた電話だけでなく、チーム内のどこかでかかってきた電話まで容赦なく取らないといけない時もよくあった。

 要は、チーム内の誰かが会議などで席を外していた場合、その席の電話もフォローする必要がある……ということなんですが、これまた面倒だった覚えがあります。

 自席ならともかく、他の席だと気がつきにくい場合も多いし。

 そもそも席を外す時は留守電にすればという話ですが、顧客対応でそれはマズイ。そうでなくても営業や他部署から緊急の電話がかかってきた場合に留守電はマズイ……

 ということで、やむをえず留守電は使わず他のメンバーで対応する、というケースが多かったです。

 理屈は分かるのですが、自分の仕事しながら他の電話まで取らなきゃいけないのは正直、キッツイです! 特に電話苦手人間にとっては!!( ノД`) 

 取らなきゃ当然怒られるし! 下っ端であればあるほど迅速に動いて取らないとさらに怒られるし!! 重要な仕事中断させてまで先輩がたに電話取らせるのかって!!( ノД`) わ、私がやってるのも結構重要な仕事のはずなんですが……?



 ……というか、入ってきて間もない新人は電話取りまくって当然!という風潮ってどうなんだと未だに思います。

 仕事内容ほぼ分かっていない新人が、先輩に言われるがままに電話を取り、流れるような早口を必死で聞き取る……いやいや結構な無茶じゃないか?と今でも思う。

 例の「ファルシのルシがコクーンからパージ(ry」をガチで言われるのとほぼ変わらん。

 内容が分からなくても、新人は伝言だけ出来ればいいとはいうものの、仕事内容が理解できないと伝言さえうまくいかないこともあるんですよ! そこまで重要じゃないと判断して聞き流したことが実は滅茶苦茶重要だったとか! 

 そもそも自分、子供の頃から伝言ゲームがトラウマ級に苦手!! 自分を介するとだいたい話がおかしくなる!!



 ともかく、新人は電話取れ!な風潮のおかげで電話恐怖を発症した人も結構いるはず……

 若い世代が電話苦手とされる一因かも知れません。

 やはりある程度仕事を理解してから、先輩の応答を見習いつつ少しずつ電話に慣れていった方が絶対良いと思うんですが。



 あと、固定電話の着信音。あれが酷いと本当に電話そのものが大っ嫌いになります。

 昔つとめていた職場で、そこも当然電話を積極的に取らされるようなところだったんですが――

 その部署の電話の着信音が非常に耳障りだった。

 ピアノ習いたての幼児が覚えたてのメロディーを弾こうとして鍵盤を乱暴に叩いているのを、親が壊れかけのレコーダー使って録音した……かの如き着信音で、鳴るたびにビックリして飛び上がっていた記憶があります。

 飛び上がっていたは誇張表現だろって? 確かに身体ごと飛び上がることはなかったですがw、鳴るたびに私の手首がビクリと跳ね上がっていたのは本当。当然心臓もバクバクになった。本当に飛び上がってたことも実はあったんじゃないかな(;´Д`)


 何故あのような着信音をあの部署で使っていたのか今となっては分かりませんが、そもそも電話機内にあのような音が組み込まれていること自体がおかしい(つまりメーカーがおかしい)……そんなレベルの酷い着信音。メロディーも酷ければ音質も最悪。

 電話対応自体は普通にできるようになっていたのですが、とにかくあの着信音だけは全然慣れなかったな……あの音のおかげでビックリするあまり、取るタイミングが遅れることまであったし。

 他の部署はそこまで酷い着信音ではなく普通だったのに、何故あの部署だけ……私以外は全員平気な顔して取ってたのも怖かった。

 他部署の着信音と混同するとマズイという理由から変更もできず、私はその職場を離れるまでずっと異常なピアノ音に悩まされることになりました( ノД`)

 懐かしの黒電話のベルの方がどんだけマシか分からん。



 電話は人類史上最悪の発明だ!!!

 と、何度も呪詛の如く呟くようになったのもあの頃だったな……今でも時々そう思うことあるけど。自分しか言ってないと思ってX調べたら意外にこれ言われてて笑ったw

 他人の時間を強制的に中断させて無理矢理自分の用事言いつけるとか、よくよく考えたらろくなもんじゃないだろ!!


 それでなくとも、電話による業務中断は本来の仕事に支障をきたすことも多いです。

 何時間も懸命にデータ入力をして、ああでもないこうでもない、あ、この数字入れとかないとミスるんじゃ……と考え込んでいる時にいきなり全く別件の電話が!

 なんてことになると、電話応対を何とか終わらせたらそれまで何やってたのか忘れた……入れる必要があった数字をド忘れしてミスった……などという恐ろしい事態も起こりえます。


 電話って要するに、それまでやっていた仕事を強制的に中断させて全く別の仕事をやらせるってことですからね……しかも事前予告なしに。

 本当に理不尽なツールでしかない!!と感じることが多かった。実際そのせいで生じるミスも多かったし。全責任は当然ミスった本人だし。電話相手全く関係ないし。


 何が言いたいかというと結局


「メールで済ませられる用事であれば、電話でなくメールを使った方が良い」


 ということですね。

 メールであれば


 ・作業の強制中断が起こりにくい

 ・やりとりが文字に残る

 ・質問されても、熟考した後に正確な回答ができる


 こんな感じで、最初にあげられていた問題のほぼ全てが解決できます。

 というか何でメールを使わないのかと言いたくなる。ネットが発達していなかった時代ならともかく、今は時間が迫っている時でない限りはメールやLINEといったツールを使うのが一番だと思います。

 顧客側でも、電話でなくネット経由が主流になってきた今だったらなおさら。


 メールでなく電話じゃないと真心が伝わらない?

 慣れない電話対応で焦っておかしなこと口走ったり揚げ足とられたり、慌てるあまり間違ったことを回答して双方の致命傷になってもいいんですか? それでも真心が大事ですか?




 あと、仕事とは関係なくとも、電話――特に携帯電話はDVの温床になりうると思っています。

 いつもいつでも相手を呼びつけて自分の好きなように扱えるツール。

 いついかなる時でも相手のプライベートな時間を強制中断させて、自分の愚痴を一方的に吐きまくれる超便利ツール。

 あ、モラ彼氏DV彼氏にとってはこれ以上を望めない大切なツールですね! トイレにも常に持ち込めとかバカ言ってんじゃ

 ……いや、思い出したら黒いものが漏れ出てきた。これ以上はやめておきますw




 しかしスピードが要求される仕事や締切が迫っていたりする場合だと、やはり電話の方が……となることがあるのも事実。

 メールだと何度もやりとりが必要でも、電話だと1回で終わるケースも多いし、そういう便利な点は否定できない。

 こちらも、簡単な質問だけど時間が迫っている時とかだと、失礼と思いつつもやっぱり電話を使うしか……となることもあります。あと当然、救急や消防などの超緊急時には絶対不可欠だし。


 だから、電話は絶対不要かというとそうではなく、

「メールで代替できる時はメールにした方がいいけど、時間が迫っている時は必要になる場合もあるし、その際は色々注意すべき」説を推したい。

 私は電話でこみいった質問をせざるを得ない場合は、なるべく事前に質問をメモにまとめて簡潔に会話できるようにしています。これは仕事でなくとも、病院の予約などで不明点があった時も同じ(自分の場合、メモも何もなしで喋ると要領を得なくなりがちというのもある)


 というか病院って、今でも電話予約オンリーなところ多いですね……恐らくネットに慣れていない高齢者が弾かれやすいから、というのが理由かなと(個人的に)推測していますが、電話に慣れていない若者への対応はどう考えているんだろう。

 慣れてなくても使える環境は揃ってるからいいだろ!若いんだから甘えんな!!で押し通すんだろうか。そうなると「ネット予約できないなら面倒だしもういいや」で若い人が深刻な病気放置する事態が頻発するのではと思いますが。



 要するに、電話は「相手の時間を強制的に奪う」ツールである点を頭に入れて、注意して使うべきということかなと。

 他に迅速な通信手段がなかった昭和ならいざ知らず、今はメールもLINEもZoomもあります。どのツールも有効活用していきたいものです。

 少なくとも、若い人たちが恐怖症になるレベルで電話応対を無理矢理押し付けるのはどうなのかと思う。あと、人を飛び上がらせるほどの酷い着信音を使うのもやめましょう。



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